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新鮮な卵殻に存在するポルフィリンは,紫外線照射により赤色の自家蛍光を発する。この赤色の蛍光強度はポルフィリンの含有量に依存している。したがって,産卵後の卵殻表面にみられる蛍光の色調変化を自家蛍光写真法で観察することにより,保存日数との関係を明らかにし鶏卵の鮮度判定が可能となった。
鶏を代表とする多くの鳥類では,その卵殻にポルフィリンが存在することが知られているが,その役割については不明である。そこで,紫外線照射 法を利用して,鶏の体内での卵殻形成とそれに伴うポルフィリンの分泌,および卵殻中のポルフィリン量の産卵後の変化などを観察した。ポルフィリンに紫外線 を照射すると赤色の蛍光を発することから,紫外線照射による自家蛍光写真法を応用し,鶏卵の鮮度判定法の開発を行った。
これまで鶏卵の鮮度は卵殻に記入した産卵日が目安となっていた。しかし,今回の紫外線照射法が鮮度判定に有効であることが証明されたことにより,容易に鮮度を判定できるようになった。さらに,新鮮な卵においても軟卵や傷など卵殻に異常のあるものでは,蛍光色および強度に変化が見られるため,今後,この自家蛍光写真法は鮮度以外の卵殻異常についての検査にも有効に応用できる可能性を示唆している。
なお,生体におけるポルフィリンの役割,とくに,卵の新鮮度との関係を解明することが急務と考えている。