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春機発動前の月齢6ヵ月の若齢雌豚に性腺刺激ホルモンの低単位投与により発情が誘起され,妊娠が成立し,正常な分娩及び離乳後の発情回帰がみられたことから,性成熟の促進が可能であることが明らかになった。
現在,繁殖供用豚は一般に生後240~300日齢で繁殖に供用されている。しかし,豚では100日齢以上になると性腺刺激ホルモン放出ホルモンや性腺刺激ホルモン(GTH)の投与に反応して春機発動し,性成熟が促進することが知られている。そこで,春機発動前の若齢雌豚に低単位のGTH製剤を投与し,早期に繁殖に供用する新技術の開発を目的に検討を行った。
春機発動前の160~180日齢の若齢雌豚に低単位の妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG;400 IU)とヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG;200 IU)を含むGTH製剤CG600を投与した。投与後に発情及び発情徴候の発現状況を観察するとともに,血液中の性ホルモン濃度の推移を検討した。さらにCG600投与により誘起された発情時に人工授精を行い,処置後8~9日における子宮内の胚数や分娩産子数,生時体重及び離乳後の発情回帰などの繁殖成績について調べた。
その結果,CG600投与により発情が処置後4~5日に同期化されて発現し,誘起された発情,発情徴候,排卵及び発情・排卵に伴う性ホルモンの推移(図1)は,正常発情周期のそれらと同様であった。発情誘起時の人工受精による受胎成績は正常胚数の回収率から判断すると良好とみなされた(表1)。産子数は5~8頭とやや少なかったが,難産などの異常は認められなかった。また,離乳後5~8日には発情が回帰した(表2)。
月齢約6ヵ月の若齢雌豚にCG600を投与することにより,4~5日後に発情が同期化して誘起され,受精により妊娠が成立し,分娩も正常に行われ,離乳後の発情回帰も順調であることが明らかになった。これらの成績から,性腺刺激ホルモンの低単位投与により,豚の性成熟を促進し繁殖性を向上させ得る可能性が示された。