RT-PCR法による牛サイトカインmRNAの検出・定量

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要約

RT-PCR(reverse transcription-polymerase chain reaction)法により牛各種免疫細胞における複数のサイトカイン(IL-1α,IL-1β,IL-2,IL-4,IL-6,IFNγ,TNFα及びGM-CSF)mRNAを検出した。

  • 担当: 家畜衛生試験場 北海道支場 第3研究室
  • 連絡先:011-851-5226
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

各種感染症における発病機構,病態形成等を解明するためには宿主の生体防御,特に免疫機構の解明が不可欠である。近年,牛においても多種類のサイトカインが同定され,サイトカインネットワークを形成し,免疫系を制御していることが明らかになりつつある。各種感染症におけるサイトカインの遺伝子発現動態を明らかにするために牛の免疫系細胞における各種サイトカインmRNAの検出・定量化を確立する。

成果の内容・特徴

  • RT-PCR法術式(図1)
    1) 少数の細胞(末梢血単核球,単球,肺胞マクロファージ,乳汁中単核球等)や組織片からpoly(A)+RNAを抽出する。
    2) 逆転写酵素とオリゴdTあるいはランダムプライマーでcDNAを合成する。逆転写反応は24°C,15分で実施する。
    3) 既に報告されている各サイトカインcDNAの塩基配列をもとにプライマーを設計,合成する(表1)。
    4) 各サイトカイン特異的プライマーとTaq DNA合成酵素によりcDNAの一部を増幅する。PCR反応は熱変性95°C,1分;伸長反応72°C,1分;サイクル数30-40で実施する。
    5) PCR生成物は4%アガロースゲル電気泳動により特異的フラグメントを検出し,イメージアナライザーを用いて電気泳動像から各サイトカインmRNAを半定量化する。
  • いづれのサイトカインについても高感度でmRNA検出が可能であった。

成果の活用面・留意点

サイトカインのmRNA発現の定量技術の確立は,細胞から分泌されたサイトカインを定量する技術よりも正確に免疫応答や病気の徴候をとらえられる可能性があり,家畜の生体防御能の評価に極めて有効な技術となることが期待される。

具体的データ

図1 RT-PCR法による牛サイトカインmRNAの検出

表1 プライマーの塩基配列

その他

  • 研究課題名:サイトカインの遺伝子発現
  • 予算区分 :大型別枠(生物情報)
  • 研究期間 :平成3年度~平成5年度
  • 発表論文等:1) Veterinary Immunology and Immunopathology 40:93-103(1994).
                      2) 第114回日本獣医学会講演要旨集,p.229(1992).
                      3) 第23回日本免疫学会総会・学術集会記録,p.502(1993).
                      4) 第118回日本獣医学会講演要旨集,p.150(1994).
                      5) Research in Veterinary Science 59:41-44(1995).