PCR法によるウマロタウイルスVP7血清型別
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要約
ウマロタウイルスVP7血清型G3,G13およびG14を下痢便から直接型別できるPCR法を開発した。
- 担当:家畜衛生試験場 総合診断研究部 環境衛生研究室
- 担当:JRA総合研究所 栃木支所
- 連絡先:0176(62)5115
- 部会名:家畜衛生
- 専門:診断予防
- 対象:馬
- 対象:指導
背景・ねらい
子馬下痢の主要原因であるウマA群ロタウイルス(EqRV)のVP7血清型別は本ウイルス病の疫学的解析や疾病防除対策に重要で,中和試験によってなされている。しかし,中和試験によるG3,G13およびG14の型別にはウイルス分離やウイルス価の測定等に多くの時間と労力を要している。そこで,PCR法によるEqRV VP7血清型別を開発した。
成果の内容・特徴
- EqRVから核酸をPhenol-Chloroform法により抽出後,RT-PCR法により完全長のVP7遺伝子 (1062 bp) を増幅した。次に,当該遺伝子可変領域の塩基配列を基に設計したG3,G13およびG14型別プライマーを用いて再びPCR法を実施した結果,PCR産物の大きさによりVP7血清型の鑑別が可能であった (G3, 374 bp; G13, 321 bp; G14, 582bp)(図1)。RTならびにPCRに使用したプライマーを表1に示した。
- 1996-1997年に北海道日高地方で採材された子馬下痢便から分離したEqRV野外株計65株(58農場由来)ならびにEqRV分離陽性糞便60例を用い,特異性について検討した。1) EqRV野外株はいずれもPCR法により型別でき,1996年株では25株(86%)がG3,4株(14%)がG14,1997年株では17株(47%)がG3,19株(53%)がG14に型別された。20株(9株がG3,11株がG14)は中和試験も併せて実施したが,その結果はPCR法のそれと完全に一致した。 2) EqRV分離陽性糞便から核酸をAcid Guanidinium-Phenol-Chloroform法で抽出後,PCR法によるVP7血清型別を試みた。56/60例が型別でき,その結果は分離ウイルスのそれと完全に一致した。以上の成績から,本PCR法はEqRVの迅速な検出とVP7血清型別に使用できることが明らかとなった。
成果の活用面・留意点
今回確立したPCR法は下痢便から直接EqRVのVP7血清型別に利用可能であり,特異性も高いことから本ウイルス病の防疫や疫学解析に有用である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:馬ロタウイルスの血清型の解析
- 予算区分:経常(交流共同)
- 研究期間:平成9~11年度
- 発表論文等:
1.第125回日本獣医学会講演要旨集,p.135 (1998)