豚サーコウイルス2型感染症の病理

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要約

豚サーコウイルス2型感染を病理組織学的に検討した。特徴病変はリンパ系組織の網内系細胞におけるブドウの房状の細胞質内封入体形成とリンパ球の著しい減少であった。

  • 担当:家畜衛生試験場 総合診断研究部 病理診断研究室
  • 連絡先:0298-38-7774
  • 部会名:家畜衛生
  • 専門:診断予防
  • 対象:豚
  • 対象:研究

背景・ねらい

豚サーコウイルス2型感染症は離乳後多臓器発育不良症候群(PMWS)として,1991年にカナダで報告されて以来,世界各地で発生が知られている。わが国においても,1996年以降,全国的に発生が見られている。しかし,その病理組織学的検討はなされていない。

成果の内容・特徴

    • 豚サーコウイルス2型ウイルスは主としてリンパ系組織の網内系の細胞で増殖する。
    • 増殖したウイルスはブドウの房状の封入体を形成するが,核内に封入体を形成することもある。
    • リンパ系組織のリンパ球は著しく減少する。
    • ウイルスは時に肝細胞,腎の尿細管上皮,腸の上皮,肺の気管支腺上皮で増殖することもある。
    • 病理組織だけでは豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)ウイルスによる間質性肺炎との類症鑑別が難しい。

図1 著明な線維化の見られた肝臓
図2 リンパ節の細網細胞の細胞質内に見られたブドウの房状の封入体
図3 ブドウの房状の封入体の電顕像
図4 封入体の強拡大

成果の活用面・留意点

  • 豚の病気、特に子豚の病気の病性鑑定時には豚サーコウイルス2型感染の有無を検査する必要がある。
  • 間質性肺炎の病理組織像がPRRSのそれと識別できないので,リンパ系組織の退行性変化の有無を併せて検査することが必要である。

具体的データ

図1 著名な線維化の見られた肝臓

図2 リンパ節の細網細胞の細胞質内に見られたブドウの房状の封入体

図3 ブドウの房状の封入体の電顕像

図4 封入体の強拡大

その他

  • 研究課題名:病性鑑定
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平9~平11
  • 発表論文等:
    1.豚に見られたサーコ様ウイルス感染の野外発生例.第124回日本獣医学会講演要旨集 ,p.24 (1997)
    2.サーコウイルス感染症.臨床獣医,17(10) : 28-33 (1999)