牛肉骨粉に含まれるプリオン蛋白質の検出法

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要約

高速溶媒抽出装置とフローサイトメトリーによるマイクロビーズ分析法を組み合わせ、牛肉骨粉中に含まれるプリオン蛋白質を高感度に 検出する技術を開発した。汚染肉骨粉モデルを用いた場合、感染脳乳剤を約0.3%に混合した肉骨粉から異常プリオン蛋白質を検出することができる。

  • キーワード:ウシ、肉骨粉、プリオン、BSE、フローサイトメトリー、高速溶媒抽出法
  • 担当:動物衛生研・プリオン病研究センター・安全性技術開発研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-7874、電子メールwww-niah@naro.affrc.go.jp
  • 区分:動物衛生
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

わが国における牛海綿状脳症(BSE)の発生により飼料・肥料への牛肉骨粉の使用が停止され、牛肉骨粉とこれを含む肥飼料の処理が 当面の課題となっている。肉骨粉へのプリオン蛋白質(PrP)混入を評価できる技術が開発されれば、資源としての牛肉骨粉の安全なリサイクルが可能にな り、廃棄コストや環境負荷の低減に結びつくものと考えられる。本研究では、肉骨粉に含まれるPrPの効率的な抽出方法及び高感度検出法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 肉骨粉からPrPを検出するための試料調整法として、高速溶媒抽出法(120℃、加圧条件下)によりPrPを効率よく抽出する方法を確立した。
  • フローサイトメトリーを応用したフローマイクロビーズ分析法を開発した(図1)。ビーズの蛍光強度とPrP濃度には相関が認められ、組換え蛋白質を用いた実験では、7pMのPrPを検出することが可能である(図2)。
  • フローマイクロビーズ分析法で肉骨粉からPrPの検出を行った。プロティナーゼK(PK)未処理の牛肉骨粉からは1ng/mL以上のPrPが検出されるが、PK処理に伴い、その反応性は消失し、異常プリオン蛋白質(PrPSc)は検出されない(図3)。
  • プリオン感染ハムスター脳乳剤を約0.3%に混合した肉骨粉からPrPScの検出を行った。フローマイクロビーズ分析法により、ほぼ実測値と等しいPrPScが検出される(図4)。

成果の活用面・留意点

  • 本研究ではBSE汚染肉骨粉を用いた評価は行っておらず、実際の有用性に関する検討が必要である。

具体的データ

図1 フローマイクロビーズ分析法の原理

 

図2 フローマイクロビーズ分析法の定量性

 

図3 各肉骨粉抽出液に含まれるプリオン蛋白質量

 

図4 スクレイピー感染ハムスター脳乳剤を混合した肉骨粉からのPrPSc検出

 

その他

  • 研究課題名:高感度な検出手法による異常プリオン蛋白質の確認技術の開発
  • 課題ID:13-06-03-*-10-04
  • 予算区分:競争的研究資金(高度化事業・201)
  • 研究期間:2002∼2004年度
  • 研究担当者:村山裕一、吉岡 都、堀井寛子、高田益宏、三浦克洋、品川森一
  • 発表論文等:1) 三浦、村山 (2004) 特許第3568198号