自走式ベールラッパ用ロールベール計量装置

要約

自走式ベールラッパの油圧流路内に圧力センサを取り付け、ラッピング作業時にロールベールの質量を計測する装置。15秒/個の計量時間で、100~400kg程度までのロールベールを誤差5kg以下の精度で計量できる。

  • キーワード:ロールベール、計量、自走式ベールラッパ、粗飼料流通
  • 担当:自給飼料生産・利用・国産発酵TMR
  • 代表連絡先:電話 029-838-8611
  • 研究所名:畜産草地研・草地管理研究領域、家畜飼養技術研究領域
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

飼料自給率の向上を目的とした自給粗飼料の増産において、飼料イネ等のロールベールを畜産農家へ流通利用する取り組みが広がりつつあり、ロールベールの品質確保が課題となっている。そのなか、飼料イネの流通基準が策定され、ロールベールの栽培生産履歴の記録管理の取り組みが推奨されている。流通基準におけるロールベールの品質情報のひとつとして、ロールベールの質量があげられるが、ロールベールの計量作業には、秤やベールグリッパ等の重機が必要であり、手間を要することからほとんど行われていない。そこで収穫調製時に、ロールベールを短時間で計量可能な自走式ベールラッパ車載型のロールベール計量装置を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発したロールベール計量装置は、自走式ベールラッパの油圧配管流路に取り付ける圧力センサ、コントローラ等により構成されている。自走式ベールラッパのターンテーブルにロールベールを載せて傾斜度2度程度までの水平な場所で停止した状態で、コントローラの計量ボタンを押すと、自動でターンテーブル部を10cm程上昇させ10秒程度停止し、その後下降する。静止した際の圧力センサの測定値からロールベール質量を算出し、コントローラに質量を表示する(図1)。計量ボタンを押してからコントローラに質量が表示されるまでの時間は約15秒である。
  • 本装置を用いて、収穫圃場等で、飼料イネ・飼料ムギ・トウモロコシ・予乾牧草・乾草麦稈等の90kg~430kgのロールベールを計量したところ、つり下げ秤により実測した計量値との誤差は5kg以内である(図2)。
  • 本装置で計量したロールベール質量情報を、2012年度研究成果情報「フィールド端末機を用いた稲発酵粗飼料の生産履歴管理システム」に通信出力し、ロールベールの質量情報を記録管理できる。圃場でロールベールの質量を記載した製品ラベルを印刷し、ロールベールに貼付けることで、飼料イネの流通基準に準拠したロールベールの流通管理ができる(図3)。

普及のための参考情報

  • 普及対象:飼料イネをはじめとする粗飼料ロールベールの生産農家、コントラクタ
  • 普及予定地域・普及台数等:粗飼料流通利用現場500ha、20台/年
  • 直径100cm、幅85cm,質量400kg程度までのロールベールを計量可能で、自走式ベールラッパのターンテーブルの持ち上げ能力以上のロールベールは計量できない。
  • 本計量装置は、2014年にタカキタ社より市販されている。

具体的データ

図1~3

その他

  • 中課題名:飼料用米等国産飼料を活用した発酵TMRの安定調製給与技術と広域流通システムの確立
  • 中課題整理番号:120c6
  • 予算区分:交付金、委託プロ(低コスト)
  • 研究期間:2010~2014年度
  • 研究担当者:喜田環樹、浦川修司、川出哲生、松尾守展(生研センター)
  • 発表論文等:
    1)喜田ら(2014)日草誌、60(3):186-192
    2)喜田ら(2014)日草誌、60(4):264-267