育成豚における飼料用玄米の回腸末端アミノ酸消化率
要約
回腸末端アミノ酸消化率は、飼料用米「ふくひびき」はいずれのアミノ酸もトウモロコシと差が無いが、「モミロマン」は6つのアミノ酸でトウモロコシより低い。
- キーワード:育成豚、回腸末端アミノ酸消化率、「ふくひびき」、「モミロマン」
- 担当:家畜生産・第一胃発酵・産肉制御
- 代表連絡先:電話 029-838-8611
- 研究所名:畜産草地研究所・家畜生理栄養研究領域
- 分類:研究成果情報
背景・ねらい
国内での安定した飼料用穀物の生産および調達の必要性から飼料用米の利用が促進されている。穀物由来のタンパク質が飼料全体におけるタンパク質の30~50%を占めるため、その消化性は重要であるが、近年利用が広がっている飼料用米品種のアミノ酸含量および回腸末端アミノ酸消化率については検討されていない。そのため本研究では、飼料用米2品種(「ふくひびき」および「モミロマン」)の玄米についてアミノ酸含量、ならびにブタの回腸末端までのアミノ酸消化率を測定する。
成果の内容・特徴
- 回腸末端カニューレを装着した育成豚(実験1:31.2±2.1kg、実験2:26.7±0.3kg)へ、試験飼料を給与し(表1)、実験1では2009年度岩手県産の「ふくひびき」、実験2では2010年度茨城県産「モミロマン」の玄米(2mmに粉砕)の回腸末端アミノ酸消化率をそれぞれトウモロコシと比較する。
- アミノ酸含量はトウモロコシに比べて、「ふくひびき」、「モミロマン」ともにロイシンおよびアラニン含量が低値、アルギニン含量が高値となった(表2)。
- 本実験では、タンパク質含量の低い穀物への対応として、少量のタンパク質を含んだ基礎飼料と、基礎飼料のコーンスターチをトウモロコシまたは飼料用玄米と置き換えた試験試料を給与し、試験飼料と基礎飼料の回腸末端通過アミノ酸の差から回腸末端アミノ酸消化率を算定する(表1)。
- 「ふくひびき」は、いずれのアミノ酸の回腸末端消化率にもトウモロコシと差がない(表2)。
- 「モミロマン」はイソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、バリンなどで回腸末端消化率がトウモロコシよりも低い(表2)。
成果の活用面・留意点
- 本研究の成果から、飼料用米の飼料への利用にあたっては品種ごとのアミノ酸含量およびアミノ酸の消化性を考慮する必要性が示唆される。
- 飼料用米は、産地や施肥によっても栄養成分が変化する。
具体的データ
その他
- 中課題名:第一胃内発酵制御因子の解明と栄養制御による産肉特性改善
- 中課題整理番号:130e0
- 予算区分:競争的資金(実用技術)
- 研究期間:2010~2014年度
- 研究担当者:石田藍子、芦原茜、小林裕之、勝俣昌也
- 発表論文等:石田ら(2014)日豚会誌、51(3):159-167