登熟中期の小麦種子を用いたグルテニンサブユニット組成の早期検定
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要約
製パン性やめんの粘弾性に関与するとされている小麦種子のグルテニンサブユニット組成は、開花後20日以降、あるいは種子の含水率55%以下の登熟中期の早期検定が可能である。
- 担当:東北農業試験場 作物開発部 品質評価研究室
- 連絡先:0196-43-3513
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:麦類
- 分類:研究
背景・ねらい
小麦胚乳のグルテニン(高分子量蛋白質)のサブユニット組成は製パン性やめんの粘弾性と関連があるとされている。通常、グルテニンサブユニット組成の分析は成熟後の種子について行われているが、成熟前に目的とする組成をもつ系統を選抜できれば、世代促進の効率化がはかれる。そこで登熟中の種子のグルテニンサブユニット組成が成熟後の種子と同一のパターンを示す時期を明らかにし、早期検定が可能になる時期を特定した。
成果の内容・特徴
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サブユニット組成が確認できるようになるのは、Monopolでは開花後15日以降、ナンブコムギ、Pliska、Palo Duro、Recital、Flamuraでは開花後20日以降である。すなわち、開花後20日以降になると、すべての品種の全個体でサブユニット組成が明瞭に確認できる(図1、図2)。
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サブユニット組成が確認できるようになる種子含水率は、品種によって、やや異なり、種子の含水率55~70%の範囲でサブユニット組成が確認できる。すなわち、種子水分55%以下であれば、どの品種の確認できるようになる(図2)。
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開花後20日の種子を過酸化水素処理で休眠打破すると、全粒で90%、半粒で80%の出芽率が得られる(図3)。従って、半粒法で選抜する場合でも、開花後20日以降であれば、80%以上の比率で次世代養成が可能である。
成果の活用面・留意点
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登熟中期に検定を行うことで、収穫前に目的とするグルテニンサブユニット組成をもつ系統の選抜が可能となり、育種の効率化が図れる。
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登熟期の温度が大きく異なる地域では、種子含水率55%以下になる時期をめやすとする。
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世代促進栽培、圃場栽培とも活用できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:小麦のグリーンバーナリ世代促進における高品質選抜法の開発
- 予算区分 :総合的開発研究(高品質輪作)
- 研究期間 :平成6年度(平成3~6年)
- 発表論文等:SDS-PAGEによる未熟及び穂発芽種子におけるコムギグルテニンサブ
ユニットの同定、日作東北支部報35号(81-82)、1992.