大粒・多収はとむぎ新品種「はとひかり」の育成

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要約

はとむぎ「はとひかり」は粒が大きく多収で、外観品質、加工適性ともに優れる。成熟期は中生の早に属し中国地方山間部では安定して成熟期に達する。短稈で着粒層が狭いので機械収穫に適す。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・資源作物育種研究室
  • 連絡先:0196-22-3310
  • 部会名:総合農業・作物生産
  • 専門:専門
  • 対象:はとむぎ
  • 分類:普及

背景・ねらい

中国地方では在来の晩生種の栽培が多く、標高の高い山間部では成熟期に達しないこともあり生産は不安定であった。一方西南日本で栽培の多い「はとむすめ」では粒大が小さく外観品質が劣るため、粒の大きい中生品種の育成が望まれていた。 また、収穫機械化のために長稈品種の育成も必要であった。これらの目標に向かって選抜、育成を進めてきた。

成果の内容・特徴

  • 「はとひかり」(奥羽3号)は晩生の在来種「岡山在来」の気乾種子にγ線20KRを照射し、早生・短稈で機械収穫に適する突然変異系統を選抜して育成したものである。
  • 成熟期における草丈は中に属し、「岡山在来」よりかなり短く「はとむすめ」よりやや長い。
  • 茎数は「はとむすめ」や「岡山在来」に比べて少ない。
  • 稈径は「はとむすめ」より太いが「岡山在来」よりやや細い。
  • 着粒層は「岡山在来」より狭く「はとむすめ」並である。
  • 百粒重は「岡山在来」より重い。
  • 成熟期は中の晩に属し、「岡山在来」より早いが「はとむすめ」より遅い。
  • 穀実の収量は「岡山在来」に比べて多収である。
  • 脱粒性は「岡山在来」並の易である。
  • 葉枯病に対する抵抗性は「岡山在来」並である。
  • 茶の加工適性は他品種と同じく良好である。

成果の活用面・留意点

  • 適地は中国地方の中・山間地である。
  • 他の品種と同様、脱粒しやすいので適期収穫に努める。

具体的データ

表1 特性一覧

その他

  • 研究課題名:はとむぎ新品種育成試験
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(昭和55年~平成6年)
  • 発表論文等:はとむぎ「はとひかり」の育成経過と主要特性、
                             東北農業研究、48、1995(投稿中)