ウリハムシモドキに対する有毛だいず品種の被害抑制効果
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要約
食葉性害虫であるウリハムシモドキの被害が有毛だいず品種上で抑制されること。また本虫の摂食量と葉面上との間に負の相関関係があり、毛密度の高い品種ほど被害が少ないことを確認した。
- 担当:東北農業試験場・水田利用部・水田虫害研究室
- 連絡先:0187-66-1221
- 部会名:生産環境(病害虫)
- 専門:作物虫害
- 対象:豆類
- 分類:研究
背景・ねらい
食葉性害虫であるウリハムシモドキは東北地方におけるだいず初期生育の重要害虫であり、防除のための殺虫剤散布が普段に行われている。殺虫剤の散布量を減らすための一方法として耐虫性品種の利用が考えられるが、本虫の被害に対する品種間差はこれまでのところほとんど調べられていない。ここでは特にだいすの有毛品種に着目し、葉面上に存在する毛(trichome)密度と被害との関係を明らかにすることによって、耐虫性品種利用へ向けた基礎的知見を得ようとした。
成果の内容・特徴
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ウリハムシモドキによる被害程度の品種間差を7月上・中・下旬に圃場で調べたところ、無毛品種に比べ有毛品種において明らかに少なかった。
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だいず30品種についてtrichomeの密度とウリハムシモドキの摂食量との関係を調査した結果、高い負の相関関係が確認された(図1)。
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T-207(有毛品種)と無毛裸( 無毛品種)の葉を用いてウリハムシモドキの摂食選好性を調べた結果、前者での摂食量が圧倒的に少なかった(図2)。
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T-207と無毛裸のメタノール抽出物を互いの葉に処理した後、及び両品種の葉をメタノールで洗浄した後に3.と同様の試験を実施したが結果は変わらなかったことから、この現象に対する化学物質の関与の可能性は低いと考えられた。
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走査電顕を用いてtrichomeの種類と微細構造の観察を試みた結果、単純なとげ状のtrichomeが観察されたのみで、物質を分泌するglandular trichomeの存在は確認できなかった(図3)。
以上の結果より、だいず葉面のtrichomeの存在は、ウリハムシモドキの摂食行動を機械的に阻害し被害を抑制する働きを有するものと結論づけることができる。
成果の活用面・留意点
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有毛だいず品種、特にtrichome密度の高い品種を用いることにより、
ウリハムシモドキの被害を抑えることが出来る。
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だいずの新品種育成に際して有益な情報となり得る。
具体的データ



その他
- 研究課題名:輪換水田に発生する害虫の生態
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成3年~8年)