兼業農家主体の営農集団における女性構成員の社会関係
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要約
「相対的中心度」の算出によれば,持続的に活動を展開してきた兼業主体の営農集団において,女性構成員の社会関係は,多様なメンバーをつなぐ車輪型のコミュニケーション構造をもっていることが明らかになった。
- 担当:東北農業試験場・農村計画部・地域社会研究室
- 連絡先:0196-43-3494
- 部会名:経営
- 専門:経営
- 対象:
- 分類:研究
背景・ねらい
近年では,兼業の深化に伴って生活様式や価値観が多様になり,地域社会において農業はかつてのような同質性を失いつつある。したがって,集落を基盤とした営農集団の運営においてもメンバー相互の強調を図ることが難しく,活動の停滞や集団の解散を招く事例も少なくない。そこでここでは、持続的に活動を展開してきた事例を素材とし,それを支えた社会関係の特徴を,女性構成員を対象にA.バーベラスの「相対的中心度」を適用して明らかにした。
成果の内容・特徴
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集落ぐるみ型営農集団のなかで,20年来の活動実績をもちメンバーの相互交流を意識的に実施してきたS研究会(構成農家:16戸)と,相互交流に乏しく農業生産活動も衰退しつつあるK組合(同:18戸)をとりあげ,女性構成員の社会関係を以下のように考察した。
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社会関係の機能的側面を把握するために,ソーシャル・サポートを比較したところ,S研究会では手段的サポートではなく,情緒的サポートを互いに期待できる社会関係となっている(表)。
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社会関係の構造的側面を把握するために,社会関係を形成している個々人について「相対的中心度」を算出した(図)。一般には,「相対的中心度」の値が大きい成員ほどその集団の核としてリーダー的役割を果たしやすい。また,「相対的中心度」について,集団内の最大値との間に大きな差を示した成員が多いほど,最大の「相対的中心度」を示した成員(リーダー)に集中したコミュニケーション構造の集団であると理解される。これを適用した結果,S研究会について次の特徴が摘出された。
1.リーダーの妻を核とする車輪型のコミュニケーション構造~
会長の妻の「相対的中心度」が最も高く,彼女の「相対的中心度」と他の成員のそれとの差が,K組合に比べ大きい構造である
2.多様なメンバー構成~
兼業従事の有無や年齢にかかわらず,幅広い層にまたがったメンバー構成である
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以上の2点は,サークル型をとり同年代とのリンクを主としたK組合の社会関係と大きく異なっている。さらに,これらの関係と出役時間との関連をみると,S研究会では,関係を形成している個々のメンバーがいずれも営農集団活動への貢献度の高いメンバーとリンクする形態をとっている点が確認された。
成果の活用面・留意点
営農集団におけるインフォーマルな人間関係の把握に参考になる。
具体的データ
その他
- 研究課題名:家族農業経営変動期における女性の主体的活動条件の解明
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成4年~6年)
- 発表論文等:未発表