地域活性化対策実施効果の事前評価手法

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

地域住民自らが活性化対策を発想し,それらの対策が地域で発生している農業・農村問題の解決にどの程度効果があるかを関係機関職員ならびに住民の意識を分析して事前評価するための支援手法を開発した。

  • 担当:東北農業試験場・農村計画部・地域計画研究室
  • 連絡先:0196-43-3491
  • 部会名:経営
  • 専門:経営
  • 対象:
  • 分類:普及

背景・ねらい

地域農業ならびに農村が抱える問題は地域の特性に従って大きく異なっており,問題解決のための活性化対策の展開にあたっては,地域特性に対する配慮が決定的に重要である。そのため,本研究では農家ならびに関係機関職員が一体となって地域活性化対策を発想し,それらの活性化対策が地域で発生している農業・農村問題の解決にどの程度効果があるかを事前評価するための支援手法を開発した。

成果の内容・特徴

  • この支援手法では,多様な属性をもつ関係機関職員ならびに地域住民を対象として,地域で発生している農業・農村問題の摘出と,摘出された問題の相互関連を解明する。このプロセスは既に当研究室が成果情報として公表したTN法第1ステップとTN法第2ステップを用いて実施する(第1段階)。
  • 問題構成要因間の相互関連解明のために実施したDEMATel分析結果から得られた総合影響行列(問題要因間の直接・間接的な影響関係を集約化した行列-表1)の各行の要素の合計を求める。この得られたベクトルは,各問題が他の問題に及ぼす総合的な波及効果を示す(第2段階)。
  • 次にTN法第1ステップを用いて,先に抽出した問題を解決するために有効と思われる地域活性化対策を抽出・整理し,これらの活性化対策の実施が各問題の解決にどの程度効果があるかについて,関係機関職員ならびに地域住民の評価を図1の調査表を用いて把握する(第3段階)。
  • 地域活性化対策の問題解決効果解明のための評価結果を集計して,各対策の問題解決効果に関する平均評価得点行列(図2の行列T)を求める。この行列に第2段階で求めた総合波及効果ベクトルを右から掛けることによって,各活性化対策の実施が地域で発生している問題全体の解決にどの程度有効であるかを示す問題解決総合効果ベクトルが得られる(第4段階)。
  • なお,本手法を岩手県岩泉町と山形県遊佐町の活性化対策実施効果の事前評価の事前評価に適用した結果,住民参加型むらづくりの一つの有効な支援手法として活用できる可能性が示された。

成果の活用面・留意点

この手法は,むらづくり支援手法としてばかりでなく, 農業技術の多面的効果の事前評価手法としても有効に活用できることが期待できる。

具体的データ

第一段階

第二段階

第三段階

第四段階

その他

  • 研究課題名:地域農業構造モデルの開発と適用
  • 予算区分 :特別研究(担い手)
  • 研究期間 :平成6年度(平成4~6年)
  • 発表論文等:地域診断と地域活性化の支援策,農業経営ハンドブック,1993。