血漿アラントイン濃度の測定法の改良

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要約

血漿アラントイン濃度は、血漿の蛋白質及び脂質を除いた上清液についてYoung-Conway法を適用することで測定できる。

  • 担当:東北農業試験場・畜産部・栄養生理研究室
  • 連絡先:0196-43-3543
  • 部会名:畜産(家畜)
  • 専門:飼育管理・動物栄養
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

牛の尿中アラントイン排泄量はルーメン微生物体蛋白質の生産量に比例し、 その推定に有効な指標とされる。尿よりもサンプル採取が簡単な 血液中のアラントイン濃度が微生物体蛋白質生産の指標となれば、 より広範な利用が期待できる。 そこで、従来から尿中アラントインの分析に利用されているYoung-Conway法を、 血漿サンプルに適用した場合の問題点を詳細に検討した。

成果の内容・特徴

  • 従来、血漿アラントインの分析には血漿の除蛋白上清液が利用されてはいたが、 比色時(Young-Conway法)に白濁し、測定を妨害することがあった。 この原因が血漿脂質にあることを明らかにし、 除蛋白と同時にクロロホルムで脂質を除くことで、比色定量できることを示した。
  • アラントインをアルカリ分解する際、 除蛋白に用いるスルホサリチル酸(SSA)濃度は 3%程度が望ましく、 濃度が高い場合はアルカリ濃度を高める必要がある。
  • アルカリ分解は10分ほどで最大となるが、 加熱時間が短い場合も標準試料と血漿サンプルは共に定量的に発色するので、 常に血漿サンプルと標準サンプルを同時に分解することで正確な分析が可能である。
  • フェニルヒドラジン塩酸塩は水に溶解した場合にはしだいに着色するが、 0.25N-HClを用いることで防ぐことができる。 しかし、時間の経過とともにブランク値が高くなるので、 アルカリあるいは酸分解中に調製するのが望ましい。
  • フェリシアン化カリウム溶液を加えた後、15分程度で発色は最大となるが、 添加後の時間を一定にすれば正確に分析できる。 また、15分を過ぎれば、1分前後のずれは吸光度にほとんど影響しない。

成果の活用面・留意点

血漿アラントイン濃度は主に消化吸収されたルーメン微生物の核酸に由来し、 ルーメン微生物の生産量を反映するが、牛の体組織分解の昂進時には 体組織の核酸に由来するアラントインの割合が高まるので、 血漿アラントインの変動から ルーメン微生物の生産量の変化を推定しようとする時は、 牛の生理状態を把握する必要がある。

具体的データ

分析法の概要

その他

  • 研究課題名:乳牛における蛋白栄養状態の評価法の開発と飼料給与技術の確立
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成3~6年度
  • 発表論文等:Factors affecting plasma allantoin concentrations in cattle.
                      Proc. Nutr.Physiol. 1994, (3) : 232.