雪を用いない低温での接種によるシロクローバ菌核病抵抗性の簡易検定法
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要約
シロクローバの菌核病に対する抵抗性の検定法を開発した。雪を用いず、低温恒温器内で接種する方法であるため、シロクローバ品種や育成系統の抵抗性検定を周年的に実施することが可能である。
- 担当:東北農業試験場・草地部・牧草育種研究室
- 連絡先:0196-43-3561
- 部会名:畜産(草地)
- 専門:育種
- 対象:牧草類
- 分類:研究
背景・ねらい
シロクローバ菌核病(Screlotinia trifoliorum Eriks.)は、主に積雪地帯で多く発生し、個体の枯死によるシロクローバの密度の低下や雑草の侵入を招き、草地の荒廃の一因となっている。菌核病に抵抗性を持つ品種の育成が望まれるが、効率的な抵抗性の検定法が確立されていない。
そこで、培養した菌核病菌を低温恒温器内で人工的に接種して抵抗性を検定する方法を開発した。
成果の内容・特徴
- 接種源の調製法:
採集した菌核を 0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液で10分間表面殺菌した後細断し、Potate Dextrose Agar (P.D.A.)培地上に置き、15度Cで 1週間培養する。
菌叢先端部からの含菌寒天片を、バーミキュライトと麦フスマ、水を1:1:0.9(体積比)の割合で混合し滅菌した培地に移植し、
15度Cで1週間培養した後攪拌する。
菌核形成を抑え、病原力を維持するため 5度Cで 2週間培養し、これを接種源として用いる。接種量は 60mg/cm2が適当である。
- 検定用シロクローバの育苗条件:
20度C・12時間日長の条件で 50日間が適当である(表1)。
- ハードニング(低温馴化処理):
2度C・8時間日長の条件で 20日間以上のハードニング処理が必要である(表1)。
- 検定法:
上記 2. 3. の方法で育成した検定用植物に 1. で調製した菌核病菌を接種し、
水で湿らせた脱脂綿で覆い、0度Cの恒温器内に置き発病させる。
接種1、2、4、8日後に恒温器より取り出し、
病徴の進行を止めるため殺菌剤(トップジンM水和剤1000倍液)を散布し、
温室内で再生させた後生存率を調査する。
抵抗性は LI50(半数致死日数)を算出し、評価する(表2、図1参照)。
成果の活用面・留意点
-
シロクローバ品種や育成系統の菌核病に対する抵抗性の検定に活用できる。
- 苗の生育を揃えるため、育苗条件を均一に設定するよう留意する。
具体的データ


その他
- 研究課題名:シロクローバ菌核病抵抗性簡易検定法の開発
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成6年度(平成4年~6年)
- 発表論文等:1. シロクローバ菌核病抵抗性簡易検定法の開発
(1)育苗期間と接種後の埋雪期間について(1993),
東北農業研究,46, 157-158.
2. シロクローバ菌核病抵抗性簡易検定法の開発
(2)ハードニング処理が抵抗性の発現に及ぼす影響(1994),
東北農業研究,47,(印刷中).