良食味・耐寒雪性ナバナ新品種「はるの輝」

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要約

「はるの輝」は寒冷地から温暖地まで栽培できる、良食味のナバナである。草体がワックスレスであることから鮮緑色で外観がよく、甘味があって食味が良好である。また、花茎が太く商品価値は高い。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・資源作物育種研究室
  • 連絡先:0196-22-3310
  • 部会名:野菜・花き
  • 専門:育種
  • 対象:葉茎菜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

なばなは冬作物であり、早春に夏野菜に先駆けて生産、出荷できる有利性があり、近年、温暖地を中心に産地が形成されている。また、寒冷地でも太平洋岸に面した積雪の少ない宮城県、福島県および積雪期間の比較的短い新潟県などで高収益作物として栽培されている。 しかし、それらの使用品種は早生類であるため寒冷地では越冬性が劣る。 東北の寒冷積雪地でも越冬できる食味の優れたナバナ用品種の育成が望まれていた。

成果の内容・特徴

「はるの輝」は「トワダナタネ」の草体を被うロウ質を欠いた突然変異株に由来し、それがもっていた劣悪特性を淘汰し、固定を図って育成したものである。

  • 耐寒性が他のなばな用品種に比べて強く、寒冷地から温暖地まで安定して栽培できる(表1)。
  • 本品種は草体を覆うロウ質がなく、草本は光沢があり、ゆでた色が鮮緑色であり、甘味が強く、食感、品質が優れる(表2)。
  • 一本重が重く、商品価値が高い花茎が収穫できる(表1)。
  • 収穫開始が「農林16号」や「三陸つぼみ菜」より遅れるが、収穫適期間が長い(表1)。
  • 菌核病に抵抗性である。

成果の活用面・留意点

活用面:
耐寒性に優れることから寒冷地より温暖地まで栽培できるナバナである。
農林16号や三陸つぼみ菜より晩生種であることから、 これらの特性を組み合わせることにより出荷期間が長くなり、経営に有利である。 留意点:
播種期が遅れると収量が低下するので適期播種に努める。
根こぶ病には抵抗性がないので連作や発生地での栽培は避ける。
ハウス栽培では収穫期前後にコナガ類、灰色かび病、白さび病、 黒斑細胞菌の発生がみられることがあるので防除に努める。

具体的データ

表1 寒冷地から温暖地における「はるの輝」の収量および食味評価

表2 東北農試における食味特性の評価

その他

  • 研究課題名:なたね新品種の育成
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(昭和58年~平成5年)
  • 発表論文等:なばな新品種「はるの輝」の育成、東北農試研究報告、89、1995。