大粒で豆腐及び煮豆加工適性が優れただいず「東北118号」
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要約
だいず「東北118号」は成熟期が「トモユタカ」と同じ中の早で、倒伏抵抗性が強い。粗蛋白質含有率は「トモユタカ」よりもやや高く、豆腐加工適性に優れる。また、大粒で外観品質が良く煮豆にも適する。
- 担当:東北農試・作物開発部・大豆育種研
- 連絡先:0187-75-1043
- 部会名:作物生産
- 専門:育種
- 対象:豆類
- 分類:普及
背景・ねらい
国産大豆の需要拡大のためには豆腐、
煮豆などの各用途に応じた加工適性の高い高品質な品種が要望されている。また、
麦との輪作体系の推進、
及び大規模化に伴うコンバイン稼働効率向上のための作期の分散には、
成熟期がやや早い品種の作付が求められている。そのため、
成熟期が早く大粒で外観品質に優れ、高加工適性の大豆品種の育成を図る。
成果の内容・特徴
- 大粒、良質、多収を目標に、
大粒でウイルス病抵抗性を有する「刈交296(F6)」を母に、
ウイルス病低抗性を有し、やや大粒の「刈系237号」を父として人工交配を行い、
以後、選抜・固定を図り、育成した系統である。
- 育成地では「トモユタカ」並の”中の早”の熟期で、
採用予定県(栃木)では「タチナガハ」に比べて成熟期が3~8日早い。
- 粒の大きさは「トモユタカ」よりも大きく、「タチナガハ」並の大粒で、
臍色は黄、種皮色は黄白で外観品質が良い。蒸煮大豆の硬さは「ホウレイ」、
「スズカリ」、「タチナガハ」より明らかに軟らく、実需者による評価では粒大、
硬さ、風味・味ともに問題なく、煮豆加工にも適する。
- 「トモユタカ」、「タチナガハ」よりも粗蛋白質含有率が高い。
豆腐の破断強度は「スズユタカ」、「タチナガハ」より大きい。
実需者による官能評価でも「タチナガハ」と同等かそれ以上の評価であり、
豆腐加工適性は「タチナガハ」よりやや優れる。
表1 「東北118号」の特性一覧表
成果の活用面・留意点
- 栃木県が奨励(認定)品種として採用予定である。
- シストセンチュウ抵抗性をもたないので、
汚染圃場での栽培と大豆連作は避ける。
- ダイズモザイク病のC、D系統に低抗性を持たないので、
これら系統が発病する地域での栽培は避ける。
- 晩播・疎植では低位置での着莢が「タチナガハ」に比べて多く、
「タチナガハ」と同じ栽植密度では低収となるので、晩播は避け密植する。
具体的データ

その他
- 研究課題名:大豆新品種育成試験
- 予算区分 :経常、(新用度畑作物)
- 研究期間 :平成10年度(昭和58年~平成10年)
- 発表論文等:なし