ダイズにおける根粒数と粒径の品種間差

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要約

ダイズ品種の根粒粒径はトヨスズの約0.4~1.6倍に分布した。粒径が大きいほど根粒重あたりの窒素固定能は高かった。粒径は根粒数と逆相関を示す。根粒数は側根数と相関が見られた。

  • 担当:東北農業試験場・作物開発部・育種工学研究室
  • 連絡先:
  • 部会名:生物工学・生物資源
  • 専門:生理
  • 対象:ダイズ
  • 分類:研究

背景・ねらい

根粒の大きさ(粒径・平均重)はガス拡散抵抗を通して室素固定能と関係している。 そこで、大きさと窒素固定能との関係を調べた。 また、平均重の品種間での分布を調べた。 さらに品種間差の原因となる根粒数決定機構についても調べるため、 制御される機構が根粒と似ているとされる側根数との関係を調べた。

成果の内容・特徴

  • ダイズ62品種における地上部重あたり根粒数と平均根粒重を調べ、 トヨスズを基準として分布図を作成した結果、 地上部重あたり根粒数はトヨスズの約0.6倍から1.6倍、 平均根粒重は約0.4倍から1.6倍までの分布を示した (図1)。 両者の間に逆相関があるが、地上部重あたり根粒数が支配要因で、 平均根粒重は2次的に決定される。
  • 根粒の大きいトヨスズは、 根粒の小さいキタムスメよりも高い根粒重あたり窒素固定 (アセチレン還元)活性を示した (表1)。 根粒が大きいほど酸素拡散抵抗が高くなり、 酸素に弱い窒素固定酵素が発現しやすくなったためと考えられる。
  • 地上部重あたり根粒数と側根数の間には有意な相関 (危険率5%:r=0.636)が見られた (図2)。 これより根粒数は側根数と同じ機構により制御されていると考えられる。

成果の活用面・留意点

  • 品種改良による窒素固定能向上の際の指標になる。
  • 根粒着生制御機構の解明に役立つ。

具体的データ

図1 品種間における平均根粒重および地上部重あたり根粒数の分布

表1 窒素固定活性

図2 根粒着生数と倒根数の関係

その他

  • 研究課題名:ダイズの根粒着生性の品種間差
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :
  • 発表論文等:日本土壌肥料学会東北支部会(1996)
                      植物微生物研究会(1996)
                      東北農業研究(1998)
                      日本土壌肥料学会北海道支部会(1998)
                       Soil Science and Plant Nutrition(投稿中)