食用ギクの抗酸化性評価とその成分

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要約

食用ギク花弁からの抽出物は、抗酸化性、ラジカル消去活性を有する。その主たる成分は、クロロゲン酸と2種のイソクロロゲン酸(3,5-ジカフェオイルキナ酸 4,5-ジカフェオイルキナ酸)である。

  • 担当:東北農業試験場・畑地利用部・畑作物栽培生理研究室
  • 連絡先:024-593-5151
  • 部会名:流通・加工
  • 専門:食品品質
  • 対象:他の花菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

食用ギクは、東北地方の特産野菜で、 彩りがよく独特な食感を持つおいしい野菜として親しまれている。また、 菊花には多様な薬理効果があるとされ、古来より漢方薬やお茶として服用されてきた。 近年、健康に対する関心の高まりと共に、 野菜に含まれる機能性成分も注目を集めている。そこで、 食用ギクの抗酸化性を評価し、その成分を明らかにすることによって、 食用ギクの高付加価値化に資する。

成果の内容・特徴

  • 食用ギク花弁からの抽出物は、抗酸化性とラジカル消去活性を示す (図1、図2)。 同じキク科の野菜で、 高い抗酸化性を有するとされるシュンギクよりもその作用は強い。また、 悪玉コレステロールと呼ぼれているLDLに対する酸化抑制作用もある。
  • 品種'もってのほか'を材料とした場合、主な抗酸化成分として、 クロロゲン酸と2種のイソクロロゲン酸(3,5-ジカフェオイルキナ酸、 4,5-ジカフェオイルキナ酸)が分離される。
  • 抗酸化性と抗酸化成分含量は品種間差が大きく、両者の間には相関が認められる (図3,図4)。 また、収穫日による変動も大きい。

成果の活用面・留意点

  • 抗酸化性やラジカル消去活性の評価は、試験管内でのものであり、 生体内での作用とは必ずしも一致しない。
  • 得られた抗酸化成分は'もってのほか'からのものであり、 品種によっては必ずしも同一ではない。また、実際には、 色素や他のポリフェノール成分と相互に作用しながら、 強い抗酸化性を示すと推察される。

具体的データ

図1 食用ギクの抗酸化性

図2 食用ギクのラジカル消去活性

図3 抗酸化成分の含有量

図4 抗酸化性とクロロゲン酸含有量の相関性

その他

  • 研究課題名:特産野菜における有用成分の解明とその含有量の変動要因の解析
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成10年度(平成9年~13年)
  • 発表論文等:食用ギクの坑酸化性の評価及びその成分の同定, 園芸学会誌,
                      第67巻別冊2, 1998
                      食用ギクのLDL等に対する坑酸化性の評価及びその品種間差,
                      園芸学会東北支部, 1998