家畜の移動モニタリング装置

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要約

2つの草地等を結ぶ通路上に一対の識別アンテナを縦列に設置し、個体識別用タグを足首に装着した家畜を通過させることにより、家畜の草地間等の移動をモニタリングする装置。これにより草地間等の家畜の移動や所在情報を昼夜連続的に長期間把握できる。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・草地管理研究室
  • 連絡先:019-643-3562
  • 部会名:畜産・草地
  • 専門:生態
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

広域な放牧地において、放牧家畜群の移動状況や所在する行動域を把握することは、 放牧管理の省力化及び効率化を図る上で重要である。一方、家畜の行動習性、 草地の利用特性を明らかにする実験的手法として、 異質な行動域間の移動状況把握が有効と考えられる。 このため家畜の移動状況をモニタリングする装置 及びこれにより収集されたデータの処理プログラムを開発する。

成果の内容・特徴

  • 装置は2枚の識別アンテナ、コントローラ及びデータ収集・処理プログラムで構成される (図1)。 個体識別用のタグにはマイクロチップ型の無線発信装置を組み込んであり、 これをバンドで家畜の足首に装着する。
  • 一対の識別アンテナを2つの行動域を結ぶ家畜の移動通路上に縦列に設置する。 家畜がアンテナ上を通過すると、家畜番号、月日・時刻、 当該アンテナ側の行動域名が指示計に通過時刻順に記録、蓄積される。 指示計の内部メモリは3,000頭分である。 これをデータ収集用プログラムでパソコンに取り込む。
  • データ処理用プログラムでは、 各個体について移動の時間的経過や各行動域における滞在時間を求め表示及び図示する (図2)。一対のアンテナを使用することにより、 家畜が行動域間を移動した時、 南アンテナを通過する時間差から移動方向と所在行動域を把握することが可能となる。
  • 本装置により、放牧監視等家畜管理の省力化、及び、 家畜の行動習性や草地の利用特性を明らかにするなどの実験的手法が可能となる。

成果の活用面・留意点

  • 本装置によるデータ取得ミスやタグの脱落は殆ど無く、 実験的手法としては実用可能である。
  • 家畜管理に適用するには群データ処理用プログラム開発等が必要である。

具体的データ

図1 家畜移動モニタリング装置の構成図

図2 データ処理プログラムによる個体情報解析例

その他

  • 研究課題名:放牧牛のホームレンジを活用した省力輪換放牧技術の開発
  • 予算区分 :総合的開発研究(自給飼料基盤)
  • 研究期間 :平成10年度(平成10~12年)
  • 発表論文等:家畜の行動域間移動モニタリング装置の開発、日草誌、第44巻別号、1998.
                      特許:特許第2896511号