東北地方向けの大粒・多収はとむぎ新品種「はとゆたか」
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要約
はとむぎ「はとゆたか」は 東北地方の栽培に適し、大粒で多収であり、お茶加工に優れる。成熟期は「はとじろう」より遅く、「中里在来」より早い、やや早生に属する。
- キーワード:ハトムギ、多収、大粒、お茶加工、東北地方向け、早生
- 担当:東北農研・作物機能開発部・資源作物育種研究室
- 連絡先:電話019-643-3655、電子メールyamamori@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・畑作物、作物・夏畑作物
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
はとむぎは主にはとむぎ茶として利用され、独自に加工所を持つ生産地もあり、地域特産的作物として栽培されている。現在、はとむぎの栽培 は東北地方に多く、主に早生・短稈種の「はとじろう」が栽培されているが、収量性の向上が課題となっている。そこで、東北地方に適し、成熟期が早く、多収 な品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 「はとゆたか」は1988年に東北農業試験場資源作物育種研究室(盛岡試験地)において、早生・短稈のF6-22(のちの「東北1号」)を母本、多収系統の「奥羽4号」を父本として交配し、早生・多収を育種目標として、系統育種法によって選抜・固定した品種である(表1)。2003年度における世代は雑種第15代である。
- 殻実収量は「はとじろう」に比べ多収であり、お茶加工や焙煎粒の外観が優れる。(表1、図1)。
- 成熟期は「はとじろう」より4日遅く、「中里在来」より5日早い、やや早生(“中の早”)に属する。
- 百粒重は「はとじろう」、「中里在来」並に重く、“やや重”に属する。
- 草丈は「はとじろう」と同程度の短稈で、「中里在来」より短い。耐倒伏性は両品種並である。
- 「はとじろう」に比べて葉枯病にやや弱い。
成果の活用面・留意点
- 東北地方の栽培に適する。
- 密植により多収となるが、倒伏することがあるので留意する。
- 葉枯病発生時には連作を避け、発生初期に薬剤(ロブラール水和剤)散布する。
- 「はとじろう」等と同等に脱粒し易いので刈遅れ注意する。
- はとむぎは他家受精しやすく、他の品種やジュズダマと容易に交配する。したがって、品種の特性を維持するために、採種栽培においては他の品種やジュズダマから隔離して栽培する。
具体的データ
その他
- 研究課題名:はとむぎの新品種の育成
- 課題ID:05-06-03-01-03-03
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1988∼2003年度
- 研究担当者:山守誠、由比真美子、加藤晶子、千葉一美、奥山善直、石田正彦、遠山知子、田野崎真吾、菅原俐、遠藤武男、柴田悖次