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リンゴでは、光センサー選果機の導入目的である「品質不揃改善」の達成率は高い。しかし、技術指導における選果データの利用は少なく、高級品割合の向上等を目指した「客観的データに基づく技術指導」という導入目的の達成は今後の課題となっている。
リンゴでは、市場競争力強化のために、大きさ等の外部品質に加えて、糖度等の内部品質をも重視した生産技術や販売戦略の開発が必要となっている。
本研究では、内部品質を非破壊で計測できる光センサー選果機を設置した選果場を対象としてアンケート調査を実施し、リンゴの生産と販売における光センサー選果機利用の実態と課題を、糖度選果が進展しているといわれているモモとの比較によって明らかにする。
光センサー選果機の導入目的(図1):リンゴ・モモともに、「産地信頼度の向上」・「品質不揃の改善」・「客観的データに基づく技術指導」とする選果場が多い。
光センサー選果機の現時点における利用効果(図2棒グラフ):リンゴ・モモともに「品質不揃の改善」とする選果場が最も多い。しかし、「産地信頼度の向上」を示す「産地全体の生産物価格向上」や、「客観的データに基づく技術指導」の結果である「高級品割合の向上」は、リンゴ選果場の方が少ない。
光センサー選果機の将来における(選果過程以外の)利用効果(図2折線グラフ):リンゴでは、「差別化商品の価格向上」・「高級品の価格向上」という販売過程における効果を期待する選果場が多い。モモでは、「産地全体の生産物価格向上」に加えて、「規格外品率の低下」・「高級品割合の向上」という生産過程における効果を期待する選果場が多い。
光センサー選果機利用上の問題点(図3): リンゴ・モモともに、「計測誤差の大きさ」が最も多い。検量線の作成方法標準化や定期的な補正の実施など、選果場段階で確実に測定精度を確保できるような 対策が必要である。また、リンゴでは、「差別化商品の価格向上」等への期待は非常に大きいが、その反面として、「等階級複雑化」や「市場評価低調」という 問題点も多くなっている。
以上のように、光センサー選果機の技術的本質である「品質不揃の改善」効果は、リンゴ・モモ両選果場で発 揮されている。リンゴでは、販売過程における高価格品創出効果に期待している選果場は多いが、生産過程における利用効果に期待している選果場は少ない。技 術指導における選果データの利用もモモより少なく(図4)、リンゴでは、「客観的データに基づく技術指導」の達成は今後の課題となっている。