牛肉の脂肪交雑と理化学的特性の関係
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要約
黒毛和種牛肉の胸最長筋においては、脂肪含量が約20%を超えると、タンパク質含量とクッキングロスの値が顕著に低下する。剪断力
価と多くの遊離アミノ酸は、脂肪含量が4-39%の間でほぼ直線的に減少する。
- キーワード:脂肪交雑、牛肉、タンパク質、遊離アミノ酸、肉用牛、畜産物・品質
- 担当:東北農研・畜産草地部・畜産物品質制御研究室
- 連絡先:電話019-643-3541、電子メールokabeys@affrc.go.jp
- 区分:東北農業・畜産、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
近年、脂肪交雑基準(BMS)の最高値No.12以上に相当する牛肉が生産されてきているが、このような高い脂肪交雑が牛肉の理化学的
特性に与える影響についての報告は少ない。そこで、粗脂肪含量が4-39%(BMS
No.4-12相当)までの黒毛和種牛21頭を用い、胸最長筋の成分組成、クッキングロス、剪断力価、遊離アミノ酸含量を測定し、脂肪含量と
の関係を明ら
かにする。
成果の内容・特徴
- これまでの報告では、粗脂肪含量の増加に伴い水分が減少し、粗タンパク質含量は一定とされていたが、粗タンパク質含量は粗脂肪
含量が約20%まではほぼ一定で、この値を超えると顕著に減少する(図1)。
- 粗脂肪含量の変化に伴うクッキングロスの変化も、粗タンパク質含量とほぼ同様の傾向を示す(図2)。
- 熟成15日後の剪断力価は、粗脂肪含量の増加に伴ってほぼ直線的に減少する(図3)。
- 熟成15日後の遊離アミノ酸含量は、そのほとんどが粗脂肪含量の増加と共に有意に減少し、THR, SER, ALA, VAL, MET,
ILEU, LEU, ARGはタンパク質あたりの含量においても有意に減少する。ただし、GLNは粗脂肪含量と共に有意に増加する(
表1)。
成果の活用面・留意点
- この結果は、極端な脂肪交雑の上昇により、粗タンパク質含量や呈味性の遊離アミノ酸含量が低くなる可能性があることを示してい
る。
具体的データ
その他
- 研究課題名:筋肉内プロテアーゼの作用に関する研究
- 課題ID:05-05-07-*-03-01
- 予算区分:交付金
- 研究期間:1999-2001年度
- 研究担当者:上田靖子、渡辺彰、樋口幹人、新宮博行、櫛引史郎、篠田満