高温、長日条件によるネギの花成抑制
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要約
ネギの花成は、夜温7°C前後で最も促進され、高昼温あるいは高地温で抑制される。低温
遭遇中の長日は花芽分化を抑制するが、条件的な短日性であるため高温下ほどその抑制程
度が大きい。一方、低温遭遇前の長日も花成を抑制する。また、これらの特性には品種間
に量的な差異があることを明らかにした。
- キーワード:ネギ、夜温、高昼温、低温遭遇中、長日、短日性、低温遭遇前
- 担当:野菜・茶業試験場生理生態部栽培生理研究室
- 連絡先:0942-43-8271
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:生理
- 対象:葉菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
これまで、ネギの花芽分化および抽台特性に関する知見の蓄積は乏しく、花成制御による新作型の開発にあたっての大きな障害となっていた。また、平成5年の異常気象下では、寒地において不時抽台が問題になった。そこで、ネギの花成に及ぼす温度および日長条件の影響について解明する。
成果の内容・特徴
- ネギの花芽分化には夜温7°C前後が最も適しているが、花芽分化可能な温度域はかなり広く、中生品種(‘金長’、‘浅黄九条’)では15°Cでも、処理期間が長くなると花芽分化がおこる(図1)。
- 晩生品種(‘長悦’)だけでなく、中生品種においても35°Cの高昼温下では花芽分化が抑制され、昼間の高温によるいわゆる脱春化作用が存在することが明らかになった(図2)。
- 花芽分化が20°Cの高地温下で抑制されることから、ネギの花芽分化における低温の主たる感応部位は茎頂近傍あるいは根であると考えられた(図3)。
- 長日の花芽分化抑制効果は高夜温下ほど大きく、またこの効果は品種によって異なり、‘金長’では小さく‘浅黄九条’で大きい(図4)。よってネギは花芽分化において条件的な短日性であることが明らかになった。
- 低温遭遇前の長日は花芽分化を抑制し、その程度に品種間差が認められた(表1)。
成果の活用面・留意点
- 異常低温下で抽台の危険性がある場合に、それを回避するための技術開発・指導上の参考になる。
- 低温期においては、トンネル掛け、ハウスの密閉等によって積極的に高昼温条件とすること、また、地温の積極的な確保を図ることで、抽台抑制効果が期待できる。
- 品種の選択によっては、低温期や育苗中に長日処理を行うことによって抽台抑制効果が期待できる。
具体的データ




その他
- 研究課題名:ネギ類の生長・発育における日長反応の解明
- 予算区分:経常、科研費
- 研究期間:平成7年度(平成元~7年)
- 研究担当者:山崎篤・田中和夫・三浦周行
- 発表論文等:
①園学雑,63(別1),1994.
②24th International Horticultural Congress, 1994.
③園学雑,63(4),1995.
④園学雑,64(別1),1995.
⑤園学雑,64(別2),1995.