レタス市販品種の腐敗病に対する抵抗性の差異とその要因
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要約
腐敗病(Pseudomonas cichorii)に対するレタス品種の抵抗性は、バンガードタイプで高く、 エンパイヤータイプ及びフルトンタイプで低い。抵抗性差異には病原細菌の組織内増殖量 及び葉組織の硬さの2要因が関与する。
- キーワード:腐敗病、レタス、抵抗性
- 担当:野菜・茶業試験場盛岡支場病害研究室
- 連絡先:019-643-3414
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物病害
- 対象:葉菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
P.cichoriiによるレタス腐敗病は、長野県、岩手県などの高冷地産地の夏秋作で多発するが,実用的な抵抗性品種がなく、生産上の大きな問題となっている。そこで市販レタス品種の本病に対する抵抗性の差異の要因を解析し、抵抗性品種育成のための知見を得る。
成果の内容・特徴
- 結球型レタスの市販されている56品種では、露地栽培において腐敗病に対して真性抵抗性を示すものは認められない。しかし、バンガードタイプの品種は抵抗性が高く、エンパイヤー及びフルトンタイプの品種は低く、グレートレイクスタイプの品種はその中間となる傾向が認められる。この抵抗性の品種間差は、年次または作期によって大きく変動しない。(図1)
- 腐敗病に対する抵抗性の品種間差異と、生理的要因によると考えられる病原細菌の組織内増殖量(収穫期の結球最外葉の葉肉部)との間に高い相関関係(r=-0.894*)が認められる。
- 抵抗性の品種間差異と、物理的要因である葉肉部の硬さ(貫入抵抗値)との間にも高い相関関係(r=-0.859*)が認められる。(図2)
- 一方、病斑長(単身付傷接種)、チコリン(P.cichoriiが生産する植物毒素)との反応、気孔数(結球最外葉裏面)と品種抵抗性との間には、いずれも一定の関係は認められない。
成果の活用面・留意点
レタス腐敗病の抵抗性育種及び多発期における品種選択の参考資料として利用できる。
具体的データ


その他
- 研究課題名:野菜の細菌性腐敗病の発病機作
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成6年度(昭和63~平成8年)
- 研究担当者:白川隆・尾崎克己・堀内誠三
- 発表論文等:Pseudomonas cichoriiによる腐敗病に対するレタス品種の抵抗性.日植病報, 61,258, 1995.