ナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシ雌の生殖休眠を誘導する日長条件
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要約
アザミウマ類の天敵であるナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシの雌の卵巣成熟は 幼虫期に日長の影響を受け、14時間以上の日長条件では卵巣が成熟し産卵するが、12 時間以下の日長条件では生殖休眠が誘導され産卵しない。
- キーワード:ナミヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ、日長、生殖休眠
- 担当:野菜・茶業試験場久留米支場虫害研究室
- 連絡先:0942-43-8271
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:作物虫害
- 対象:果菜類
- 分類:研究
背景・ねらい
露地栽培ナスにおいては、土着のヒメハナカメムシ類がアザミウマ類の天敵として重要な役割を果たしている。しかし、冬期の短日条件下の施設栽培ナスにおいては十分な効果が認められず、問題となっている。その原因の一つとして、短日条件によってヒメハナカメムシ類に生殖休眠が誘導されることが示唆されている。そこで、西日本の野菜の圃場で普通に見られるナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシについて、日長条件が生殖休眠に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシの雌は、幼虫期に14時間以上の長日条件で飼育されると卵巣が成熟するが、12時間以下の短日条件で飼育されると生殖休眠が誘導され卵巣が成熟しない。両種(いずれも久留米市産)の22°Cの温度条件における生殖休眠の臨界日長は、12時間と13時間の間にあり、種間で大差がない。(図1)
- 久留米市において、野外における休眠個体は10月上旬から出現し、10月下旬ではほとんどすべての個体が生殖休眠に入る。(図2)
成果の活用面・留意点
- 冬期の短日条件下でナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシが生殖休眠に入らないようにするためには、電照などで人工的に14時間以上の長日条件をつくる必要がある。
- 日長条件による生殖休眠の誘導に対する温度条件の影響については不明であり、今後さらに検討する必要がある。
- ナミヒメハナカメムシとコヒメハナカメムシの識別は、雄成虫の交尾器を調査しなければならないので、野外の雌成虫の休眠率の種間比較はできなかった。
具体的データ


その他
- 研究課題名:捕食性ヒメハナカメムシ類の日長条件に対する生態反応の解明
- 予算区分:経常
- 研究期間:平成7年度(平成6~8年)
- 研究担当者:河野勝行・柏尾具俊
- 発表論文等:二種のヒメハナカメムシ類の生殖休眠の誘導に対する日長の影響.
第39回応動昆大会講演要旨,1995.