半枯病抵抗性'ナス中間母本農1号'の育成

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要約

'ナス中間母本農1号'は半枯病抵抗性であり、その抵抗性は単因子優性である。また、 果実形質は抵抗性素材の'LS174 'よりも大幅に改良され、実用品種に近く、抵抗性育種 素材として有用である。

  • キーワード:'ナス中間母本農1号'、半枯病抵抗性、単因子優性、抵抗性育種素材
  • 担当:野菜・茶業試験場野菜育種部育種第3研究室
  • 連絡先:0592-68-4653
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:育種
  • 対象:果菜類
  • 分類:普及

背景・ねらい

ナス半枯病は昭和28年に愛知県で発見され、その後全国各地で被害が認められるようになった。実際栽培ではヒラナス等の抵抗性台木を利用した接ぎ木栽培により被害を回避しているが、接ぎ木には多大の労力を要するので自根栽培可能な半枯病抵抗性品種の育成が望まれている。そこで、半枯病抵抗性ナスの中間母本を育成する。

成果の内容・特徴

  • 育成経過
    抵抗性素材の'LS174'は半枯病抵抗性であるが果実形質は不良である。昭和51年に交配した'久留米長'と'LS174'のF1に、翌年'久留米長'を戻し交雑し、53年と54年には抵抗性選抜個体に'千両2号'を交雑してB3F1種子を得た。57年にB3F1の抵抗性個体を選抜し、58年以降抵抗性と果実形質について選抜を続け、平成2年に果実形質は実用品種に近く、抵抗性の系統'EF39b-1'を得た。本系統は半枯病抵抗性で果実形質は実用品種に近いことから、平成7年7月に'ナス中間母本農1号'として登録された。
  • 特性の概要
    • 半枯病抵抗性は抵抗性親の'LS174'と同等の強度抵抗性で、幼苗接種検定ではほぼ完全な抵抗性を示す。抵抗性は、'LS174'と同様に単因子優性を示すと推定される。(表1)(表2)
    • 草丈は高く、立性で茎の太さは中程度、節間長はやや長く、茎は濃紫色である。果形比(果長/果径)は3.6で、果形は中長である。果皮、へたともに黒紫色で、へた下は赤紫色に着色し、果実形質は抵抗性親の'LS174'よりも大幅に向上し、実用品種の'千両2号'に近い。(表3)
    • 収量は'千両2号'より少なく、果実の肩部が細くなり易い。また、へたが褐変する'へた枯れ'が多い。

成果の活用面・留意点

半枯病抵抗性の育種素材として利用できる。抵抗性は単因子優性なので、罹病性品種と交雑した場合のF2世代では約3/4の個体が抵抗性を示す。

具体的データ

表1.'ナス中間母本農1号'の半枯病抵抗性の遺伝

表2.'ナス中間母本農1号'の半枯病抵抗性

表3.'ナス中間母本農1号'の果実形質

その他

  • 研究課題名:ナス半枯病・青枯病複合抵抗性育種
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(昭和56~平成7年)
  • 研究担当者:望月英雄・山川邦夫・坂田好輝
  • 発表論文等:なし