キャベツの生育とその斉一性を向上させるセル成型苗の植え付け方法
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要約
キャベツセル成型苗を、根鉢が覆土されるように植え付けることで、活着が促進され、結球重が増加し、結球の斉一性が大幅に向上する。
- キーワード:キャベツ、セル成型苗、根鉢、覆土、活着、結球、斉一性
- 担当:野菜・茶業試験場 生理生態部 作型開発研究室
- 連絡先:059-268-4631
- 部会名:野菜・茶業、総合農業(総合研究)
- 専門:栽 培
- 対象:葉茎菜類
- 分類:普及
背景・ねらい
野菜の省力・軽作業化をはかる目的でセル成型苗の利用が増えてきている。キャベツの栽培では、昔から深植え厳禁といわれているが、従来の地床苗からセル成 型苗の利用に代わった今でも、多くの生産者がこれを意識しており、根鉢の上面を露出させて植え付けているのが見受けられる。そこで、新しいタイプの苗であ るセル成型苗を用いる場合の生育の促進とその斉一性を高めるための最も合理的な植え付け方法について検討した。
成果の内容・特徴
夏まき冬どり作型における試験の結果、セル成型苗を定植する際、根鉢を覆土して根鉢の乾燥を防ぐことで活着を促進し、生育の促進と斉一性を高めることができることを解明した。なお、植え付け深さについては模式図(図4)を参照のこと。
- 根鉢への覆土で、根鉢が地面に露出した場合よりも結球重が増加すると共に斉一性が向上する(図1)。
- 根鉢が地表面に露出することで活着率は低下する(図2)。
- 定植直後の根鉢の含水率は周囲の土壌よりも高いが、その後は急激に減少して周囲の土壌よりも低くなり、根鉢が地表面に露出することで水分の減少は助長される(図3)。
- 根鉢が地表面に露出すると、根鉢の含水率が一両日中に低下し(データ省略)、根鉢からの発根は抑制される(図4)。
- 根鉢を覆土することにより、露出した場合に比べて、地上部の萎れ(地上部の水ポテンシャルの低下)が抑えられ(図5)、葉面積が拡大し、定植後の初期生育が促進される(データ省略)。
成果の活用面・留意点
- 一斉収穫における上物率の向上と収量の増加が可能になる。
- 特に、夏場に定植する作型で有効である。
- 本成果の最も重要な点は、植え付け深さではなく、根鉢が十分に覆土されることである。
- 生長点や本葉が埋没するような過度の深植えはさけ、子葉着生部位を目安に植え付ける。
- 本試験において、根鉢の覆土に起因する土壌病害は認められなかった。
具体的データ





その他
- 研究課題名:活着促進技術の開発
- 予算区分 :実用化促進(地域総合)
- 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
- 研究担当者:藤原隆広・吉岡 宏・四方 久・佐藤文生
- 発表論文等:キャベツセル成型苗の定植深さが活着および生育に及ぼす影響.
園学雑,64(別2),356-357,1995.