キャベツの結球認識のための画像処理手法

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要約

栽培中のキャベツの画像から結球を認識する画像処理手法を開発した。結球形状を円と仮定し、結球と外葉の間に生じる影の重心位置に対して、ハフ変換を施すことにより、結球位置および結球径を測定できる。

  • キーワード:キャベツ、結球、画像処理、ハフ変換、結球位置、結球径
  • 担当:野菜・茶業試験場 施設生産部 機械利用研究室
  • 連絡先:0569-72-1564
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:機械
  • 対象:葉茎菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

キャベツなどの重量野菜は収穫作業での労働負担が大きいため、栽培が敬遠される傾向にあり、収穫の自動化による作業の軽労化が求められている。作業者は、 視覚や触覚により、結球の大きさ、硬さなどを推定して収穫適期を判定していることから、収穫の自動化を行うためには、これらの判断基準を定量化することが 必須である。そこで、キャベツの画像から結球を認識して、結球位置および結球径を測定する画像処理手法を開発するとともに、大きさ判定における有用性につ いて検討する。

成果の内容・特徴

  • 栽培中のキャベツを撮影し画像処理を施すために、走行台車に搭載した画像入力システムを用いる(図1)。入力部は、自然光の影響を避けるため、暗幕で覆う。
  • 本手法は、キャベツの結球形状を円と仮定することにより、結球のみを認識する画像処理手法である(図2)。キャベツの濃淡画像を2値化することにより結球部と外葉の間に生じる影を抽出する。収縮処理を施した後、対象物の重心座標に対してハフ変換(直線、円、楕円などの図形パターンを抽出する手法)を行うことにより円を認識し、結球の位置および結球径を測定できる(図3)。
  • 画像処理による結球の推定値と実測値との間には相関関係が認められ、結球の大きさを判定できる(図4)。
  • 外葉が開張する品種は、外葉と結球に明確な隙間が生じやすいため、結球抽出処理に適する。

成果の活用面・留意点

キャベツの選択収穫ロボットの視覚認識技術として利用できる。ハフ変換の処理では膨大なメモリーを使用するため処理時間が遅く、結球を抽出するためには1分程度の測定時間を必要とする。

具体的データ

図1 画像入力システム

図2 画像処理のフローチャート

図3 画像処理結果

図4 結球径測定精度

その他

  • 研究課題名:結球野菜自動収穫のための品質判定システムの開発
  • 予算区分 :総合的開発研究「軽労化農業」
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
  • 研究担当者:林茂彦・坂上修・鹿沼隆宏
  • 発表論文等:画像処理によるキャベツの結球抽出.植物工場学会誌,8,20-27,
    1996.円認識画像処理を用いたキャベツ結球の大きさ推定.植物工場学会誌,8,
    271-279,1996.