萎ちょう細菌病抵抗性の'カーネーション中間母本農1号'
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要約
カーネーションの重要病害である萎ちょう細菌病に対し、強度な抵抗性を有する'カーネーション中間母本農1号'を育成した。
- キーワード:萎ちょう細菌病、カーネーション中間母本農1号
- 担当:野菜・茶業試験場 花き部 育種研究室
- 連絡先:059-268-4662
- 部会名:野菜・茶業
- 専門:育種
- 対象:花き類
- 分類:普及
背景・ねらい
萎ちょう細菌病は、夏の高温期に立ち枯れを多発させる土壌伝染性病害であり、我が国でのカーネーション栽培上最も重要な病害であるが、抵抗性品種はほとんど存在しない。そこで、萎ちょう細菌病抵抗性系統を育成する。
成果の内容・特徴
- 平成元~3年に、抵抗性の品種間並びに種間差異を調査した。検定試験の結果、供試した栽培品種273品種のほとんどはり病性を示したが、野生種では供試83種及び系統の中に有望な抵抗性素材が見いだされた。そのうち、Dianthus capitatus andrzejowskianus(以下 D. capitatusと略す)は、最も萎ちょう細菌病抵抗性が高い野生種の1つであった (表1) 。
- 平成2年に、D. capitatusの強度な抵抗性をカーネーションに導入する目的で、スプレー系品種'スーパーゴールド'(D. caryophyllus)との間で種間交雑を行った。両者の交雑親和性は低かったが、種間雑種を得ることができ、得られたF1実生の中で、検定に用いた2菌株に対し発病率が0%であった系統'91B04-2'を選抜し、'カーネーション中間母本農1号'と命名した。
- 本系統は、平成5年の再試験でも発病率11%と強い抵抗性を示したので(表1)、カーネーションとの交配を行い、抵抗性の遺伝性及び一 般形質を調査した。本系統とり病性カーネーションとの間の交雑132系統のうち、16系統(12.1%)が極強もしくは強抵抗性を示し、本系統が有する強 度な抵抗性は後代へ遺伝することが確認された(表2)。
- 本系統の草姿・形態や花色に関しては、花径が4.3cmと小さく、硬い花茎が伸長して、頂端に小花が密生するなど、野生種の性質を残している(表3)。
成果の活用面・留意点
カーネーション萎ちょう細菌病抵抗性育種素材として、カーネーション及びダイアンサスの育種に利用できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:カーネーションの萎ちょう細菌病抵抗性育種
- 予算区分 :経常
- 研究期間 :平成8年度(昭和63年~平成10年)
- 研究担当者:小野崎 隆・池田 広・山口 隆・姫野正己・天野正之
- 発表論文等:Introduction of bacterial wilt (Pseudomonas caryophylli) resistance
in dianthus wild species to carnation. Acta Horticulturae, (in press, 1997).
カーネーションの萎ちょう細菌病抵抗性育種に関する研究(第7報)抵抗性中間母本
'カーネーション安濃1号'の育成経過及び特性. 園学雑,65(別2), 500-501,1996.