スクロース処理によるスイートピー切り花の品質保持期間の延長

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

スクロースの浸漬処理はスイートピー 切り花の品質保持に効果があり、その最適濃度は100g/lである。連続処理では、チオ硫酸銀(STS)処理以上の効果があり、STS処理後の短期間の処理でも、STS単独処理より優れた効果を示す。

  • キーワード:スクロース、スイートピー、切り花、品質保持、チオ硫酸銀、STS
  • 担当:野菜・茶業試験場 花き部 流通技術研究室
  • 連絡先:059-268-4664
  • 部会名:野菜・茶業
  • 専門:生理
  • 対象:花き類
  • 分類:研究

背景・ねらい

スイートピーは切り花の日持ちが短かいため、通常STS処理が行われている。しかし、STS処理ではつぼみが十分に開花しないことに加えて、開花した花 の色素発現が不良となることが問題となっている。一方、スクロース処理は多くの切り花の品質保持に効果があることが明らかにされている。そこで、スクロー スを利用したスイートピーの品質保持技術を開発するとともに、スクロースが品質保持に効果を示す作用機作を解明する。

成果の内容・特徴

  • スクロースの浸漬処理はスイートピーの品質保持に著しい効果があり、最適濃度は連続処理および短期間の処理のいずれの場合も100g/lと判断される(表1)。 スクロースの品質保持効果は、収穫後ただちにかつ長期間処理した方が大きい(データ略)。
  • スクロースを連続処理した場合、対照区に比較して約3倍花持ち日数が延長する。この品質保持効果はSTS処理よりも高い。(表2)
  • スクロースの短期間の処理ではSTS処理よりも品質保持効果はやや劣る。しかし、STSで処理した後、スクロースを16時間処理することにより、STS単独処理より、花持ち日数が延長するだけでなく、花弁の伸長生長およびアントシアニンの発現も促進される(表3)。
  • スクロース処理により花弁中の糖含量が増加する(データ略)とともに、エチレン生成が抑制され、品質保持効果が高い場合ほど、エチレン生成のピークが遅延する(図1)。これよりスクロースによる品質保持効果はエチレン生成の抑制と推定される。

成果の活用面・留意点

  • スクロースを利用したスイートピー切り花の品質保持技術の開発に利用できる。
  • 他の切り花の品質保持技術開発に有用な情報となる。
  • スクロースの単独処理では微生物の繁殖が著しいため、8-ヒドロキシキノリン硫酸塩等の殺菌剤を併用処理することが必要である。
  • 本試験は23°C、相対湿度70%、12時間照明、光強度10μmol m-2 S-1の条件下で行った。

具体的データ

表1 スクロース濃度が花持ち日数に及ぼす影響

表2 スクロースの連続浸漬処理とSTS処理が花持ち日数に及ぼす影響

表3 スクロースとSTS処理が品質保持に及ぼす影響

図1 スクロース処理が小花のエチレン生成量に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:花きの老化に及ぼす貯蔵環境の影響・薬剤利用による切り花の品質保持技術の開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
  • 研究担当者:市村一雄・平谷敏彦・須藤憲一
  • 発表論文等:1園学雑,64(別2),496-497,1995. 2園学雑,65(別1),464-
    465,1996.3施設園芸38(7),20-23,1996.