製茶工程へのファジィ制御の導入

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ファジィ推論によるフィードバック制御法を用いて、製茶エキスパートの経験や知識を製茶工程の制御に導入する方法を開発した。ファジィ推論を用いると、従来の制御法と比較して、複雑な調整を必要とせず、安定性があり高精度の制御が可能となる。

  • キーワード:ファジィ推論、フィードバック制御、製茶工程、安定性、高精度 1
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製茶システム研究室
  • 連絡先:0547-45-4101
  • 部会名:野菜・茶業、総合農業(作業技術)
  • 専門:機械・作業
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

製茶工程は6工程から構成され、それぞれ特徴のある機械が用いられるが、その調整操作は複雑かつ微妙で、熟練者並みの自動化は困難であった。そこで、製 茶知識のような言語表現を制御に利用できるファジィ推論を工程全体に導入し、複数のセンサ情報をもとにフィードバック制御を行う方法を開発する。

成果の内容・特徴

製茶工程中に生ずる茶葉の物性の急速な変化に対応するため、各製茶機械に茶葉の状態を検出する複数のセンサを取り付け (表1) 、製茶工程全体の統轄制御システムにファジィ推論によるフィードバック制御法を導入した。 ファジィ推論の導入方法とその特徴は以下のとおりである。

  • ファジィ化メンバーシップ関数には三角型を用い、アンケート形式で調査した数人のオペレータの感覚をセンサ値に対応させて作成する。
  • 言語表現を操作量に変換する非ファジィ化メンバーシップ関数は、製茶エキスパートの意見の聞き取り調査をもとに作成する。
  • 製茶エキスパートの経験や知識を言語表現のまま、IF-THEN型で整理し、ファジィ制御規則として整理する。
  • ファジィ推論の演算には、センサから得られた状態値を言語表現のファジィ変数とグレード値に変換した後、制御規則に対応した非ファジィ化メンバーシップ関数の頂点をグレード値まで押し縮めた三角形を合成した図形の重心を求める方法を採用している(図1)。
  • 上記のファジィ推論を導入すると、複雑な調整を必要とせず、従来の制御と比べて安定性があり高精度の制御が可能となる(図2)。
  • 複数の制御規則を同時に処理することで、複数のセンシング項目から操作量を決定することが容易である。

成果の活用面・留意点

本制御法は、センサ付のフィードバック制御装置を持った市販の製茶機械にも広く応用できるが、機械の容量やセンサの応答を考慮して、制御を行う間隔等の調整が必要である。

具体的データ

表1 制御項目及び茶葉状態

図1 導入したファジィ推論

図2 粗柔工程の茶温制御の例

その他

  • 研究課題名:製茶工程のファジィ統轄制御システムの開発
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(平成7~9年)
  • 研究担当者:角川 修・吉冨 均・深山大介
  • 発表論文等:1)製茶工程の統轄制御システムの開発(2).茶研報,82(別),62~63,1995.
    2)製茶工程の統轄制御システムの開発(3).茶研報,82(別),64~65,1995.
    3)製茶工程の自動制御システムの開発(2).農機学会講要,55,421~422,1996.