画像情報による茶樹の新芽生長の計測法

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要約

茶園に敷設したレール上をTVカメラを装着した台車で、畝方向に移動しながら撮影した茶樹側面画像より、新芽生長量および収量が推定できる。上から撮影した樹冠面画像より、新葉・古葉・枯葉の反射特性の違いを利用すると、それぞれの部分が抽出できる。

  • キーワード:茶園、TVカメラ、側面画像、生長量、収量、樹冠面画像 1
  • 担当:野菜・茶業試験場 茶利用加工部 製茶システム研究室
  • 連絡先:0547-45-4101
  • 部会名:野菜・茶業・、総合農業(作業技術)
  • 専門:機械・作業
  • 対象:茶
  • 分類:研究

背景・ねらい

茶園の栽培管理の省力化をさらに進めるには、人間の観察や判断に代わり、茶樹や環境の状態を継続的かつ的確に把握するシステムの確立が必要となる。そこで人間の視覚に代わり、茶樹の状態変化を観察する、茶樹画像特有の条件に適した画像解析手法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 茶園に敷設したレール上の台車に取りつけたTVカメラ(CCDカメラ2台)で、茶樹を側面と上面から撮影する。レール(全長60m)上を移動するため、装置の畝方向の位置認識は正確である。
  • 茶樹を側面からシルエット画像として畝全域にわたって撮影し、樹冠面の高さの変化を畝方向に20mm毎に計測すると、新芽が生長する以前に計測した樹冠面高さをベースラインとすることにより、新芽の伸長量がその位置と合わせて把握できる(図1)。
  • 新芽伸長期に継続的に樹冠面高さの変動を計測することで、計測時における、区間毎の収量をよく推定することができる((図2),ここで区間は畝方向1mとしている)。
  • 上から撮影した樹冠面画像(図3)は、普通、古葉を背景として新葉があり、場所によって枯死した被害部が存在する。計測対象である新芽は古葉と同系色であるが表面の分光反射特性は異なる(図4)。この分光反射特性の違いを利用して、RGB輝度値を説明変数とする判別分析により新芽や被害部を抽出することができる(図5)。検定用の画像における判別関数式の正解率は新芽部で93%であった。
  • これらの面積割合を茶樹樹冠面に設定した小区画(メッシュ)ごとに認識することで、畝全域にわたって新芽の生育のばらつきや被害箇所の空間分布を把握することができる。

成果の活用面・留意点

  • 新芽や被害箇所を認識する解析法は、今後開発する完全自動化された情報収集装置に活用される。
  • 樹冠面の画像から新芽を認識する手法は、樹冠面全体が新芽で覆われる時期までが有効である。
  • 樹冠面画像は撮影条件、特に照明の状態が処理に影響を及ぼすため、一定の照明状態の下で撮影することが望ましい。

具体的データ

図1 側面画像から求めた樹冠面の高さの変化

図2 側面画像による収量の推定

図3 新葉部・被害部(枯死)を含む樹冠画面像

図4 茶葉の分光反射特性

図5 新葉部の抽出結果

その他

  • 研究課題名:センサフュージョンによる作物及び農産物の状態変化の認識・制御システムの開発
  • 予算区分 :総合的開発[軽労化農業]
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
  • 研究担当者:深山大介、吉冨 均、角川 修
  • 発表論文等:1)茶園における生体計測(第2報).茶研報,82(別),32-33,1995.
    2)茶園情報収集ロボットの開発(1報).農機学会講要,54,5-6,1995.
    3)茶園情報収集ロボットの開発(2報).農機学会講要,55,257-258,1996.