プレスリリース
強稈・極多収で食味も良好な暖地平坦部向き晩生水稲新品種「あきまさり」(水稲農林410号)

- 九州沖縄農業研究センター開発品種の紹介 -

情報公開日:2005年9月15日 (木曜日)

育成のねらい

近年、九州地域では、主力品種「ヒノヒカリ」に作付けが集中しています。このため、「ヒノヒカリ」の収穫期には乾燥施設が一杯となってしまい、適期刈りができず刈り遅れとなる場合が少なくありません。この問題を解決するためには、「ヒノヒカリ」よりも収穫時期の遅い品種を作付けして、刈り取り時期を分散する必要があります。そこで、このたび晩生の「ユメヒカリ」熟期で、「ヒノヒカリ」と同レベルの食味と安定多収性を兼ね備えた新品種「あきまさり」を開発しました。

3.来歴の概要

平成8年に、「南海127号」(後の「かりの舞」)と「西海230号」(後の「あきさやか」)という、ともに倒れにくく多収で食味が良い両親の人工交配を行った組合せから選抜・育成しました(旧系統名:西海248号)。

4.命名の由来

「あきまさり」の名の、「あき」は晩生種をイメージしており、晩生種の中でも特に特性に秀でた品種となることを願って命名しました。

5.新品種の特徴

  • 食味は「ユメヒカリ」にまさり「ヒノヒカリ」に近い"上中"です。
  • 出穂期は「ユメヒカリ」並で成熟期は3~4日程度遅い、"晩生の晩"のうるち種です。
  • 「ヒノヒカリ」よりも倒れにくく、耐倒伏性は「ユメヒカリ」並の"強"です。
  • 収量性は、「ユメヒカリ」を10%上回る極多収で、九州各地での事例で年次を問わず安定多収を示します。

6.今後の展開(普及の見通し)

「あきまさり」は、「ヒノヒカリ」並においしく、倒れにくく収穫量の多い品種です。その特性から九州平坦部の「ユメヒカリ」の普及地帯に広く適すると考えられます。今年から熊本県で奨励品種に採用されており、同県では「ユメヒカリ」「レイホウ」等に替えて5000haの普及を見込んでいます。この品種の本格普及により、中生種と晩生種とのバランスの取れた作付が実現し、作業競合の回避による施設・機械の有効利用が可能になると考えられます。また、その強稈性や安定多収性を生かした栽培により良食味米の低コスト生産が期待されます。

草姿草姿
(左:「あきまさり」、右:「ユメヒカリ」)

籾および玄米籾及び玄米
(左:「あきまさり」、右:「ユメヒカリ」)

あきまさりの立毛草姿「あきまさり」の立毛草姿(育成地、移植栽培)あきまさりの系譜図収穫量