プレスリリース
触媒を使わないバイオディーゼル燃料製造技術

- 世界初、「無触媒過熱メタノール蒸気法」による バイオディーゼル燃料製造実証試験に成功 -

情報公開日:2008年12月12日 (金曜日)

農研機構 食品総合研究所、東京大学、滋賀県立大学と鹿島建設(株)は、「無触媒過熱メタノール蒸気法」実証試験施設(計画日製造量0.4kL)によるパイロットスケールでのバイオディーゼル燃料製造に成功しました。

本技術は、これまでの一般的なバイオディーゼル燃料製造技術(アルカリ触媒法)とは異なり、高温に加熱した原料(油)と高温のメタノール蒸気をほぼ大気圧下で反応させることによってバイオディーゼル燃料の成分である脂肪酸メチルエステル(FAME)を製造するものです。この製造法は、アルカリなどの触媒や超臨界条件を必要としないため、シンプルな設備構成でFAMEの製造が可能であり、原理的に廃水・廃液の発生がほとんどなく、副産物として純度の高いグリセリンが回収できるという特長があります。また、原料として、幅広い品質の廃食油や栽培植物油を使用することができます。再生可能なバイオマスを原料とするバイオディーゼル燃料は、化石燃料の消費を削減すると同時に廃棄物である廃食油の有効再利用を可能とします。

今回の実証試験の成功により、従来法の問題を克服した「無触媒過熱メタノール蒸気法」によるバイオディーゼル燃料の実用化に向け大きく前進することができました。

【研究実施機関】

農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市) 理事長 堀江 武
国立大学法人 東京大学大学院農学生命科学研究科(東京都)教授 相良泰行
公立大学法人 滋賀県立大学大学院工学研究科(彦根市)教授 山根浩二
鹿島建設株式会社(東京都) 代表取締役社長 中村満義