プレスリリース
(お知らせ) 異なるメーカー間のデータ連携と農業者のデータ利活用を加速

- 施設園芸データ連携コンソーシアムによる計測・記録方式の提案 -

情報公開日:2026年4月22日 (水曜日)

ポイント

農研機構は、施設園芸分野において、メーカーの垣根を越えたデータ連携を可能とし、様々なシステムやアプリで、気温や湿度といった環境データ等をより効率的に利用できるようにすることを目的として、民間のICTベンダー、デバイスメーカー、都道府県の研究機関などが参画する「施設園芸データ連携コンソーシアム」(令和6年4月設置)を通じて、データ形式やデータ取得・記録方法の標準化等に取り組んでいます。

このたび、本コンソーシアムにおいて、作物の生育データの計測・記録に関する手引きと、環境データと生育データを一体的に扱う記録フォーマットを策定・公開しました。農業の現場において、これらの成果物と農研機構が開発した「NARO生育・収量予測ツール」を活用することで、機器のメーカーを問わず、施設園芸分野におけるデータの活用促進と高度化が可能になります。

引き続き、異なるメーカーが開発した技術や知見を共通の枠組みで活用できる環境の整備を進め、スマート農業の普及と日本の施設園芸の生産性向上に貢献していきます。

概要

日本における基幹的農業従事者の減少は今後さらに進むと見込まれており、農業の持続的な発展と食料の安定供給には、限られた人手や資源のもとで生産性を向上させる取り組みが不可欠です。そのための重要な手段の一つとして、農業現場で日々蓄積されるデータを作業の効率化や経営判断の高度化に最大限活用することが挙げられます。

施設園芸においても、環境データ(温度や湿度、日射量など)や作物の生育データは栽培管理や収量予測に有用である一方、実際の現場では、生育データの計測や記録方法が農業者ごとに統一されていないことに加え、使用する機器やシステムのメーカーによってデータの形式や定義が異なるため、データを十分に活用できない課題がありました。

そこで農研機構は、施設園芸分野における環境・生育データの利用環境を整備することを目的として、民間のICTベンダー、デバイスメーカーや都道府県の研究機関などが参画する「施設園芸データ連携コンソーシアム」を設立しました(図1)。

図1施設園芸データ連携コンソーシアム
(令和7年度までののべ参画組織を記載)

本コンソーシアムでは、トマトおよびキュウリを対象に、生育データを共通の考え方で扱うための手引きである「施設園芸作物の推奨計測法(v1.2.0)」を策定しました。本手引きは、「NARO生育・収量予測ツール①果菜類1)」による解析・評価に必要な生育データを、現場で無理なく取得できるよう整理したものです。葉長や葉幅といった一般的な計測項目に加え、茎径や花房間距離など、生産現場のニーズを踏まえた項目も取り入れており、予測ツールを活用した営農判断につなげやすい実践的な内容としています。

あわせて、農機OpenAPI2)を用いた環境データと、生育データを一体的に扱う記録フォーマットを提案しました。環境データの記録は、農機OpenAPI(施設園芸機器編)(v2.1.0)3)を活用し、作物生育データは「施設園芸作物の推奨計測法(v1.2.0)」を利用することを前提としており、異なるメーカーの機器同士であっても、安定的にデータを取得し活用できるようになります。

さらに、営農支援や生産部会での実利用を想定し、データ共有に関するユースケースや運用上の留意点を整理しました。具体的には、関係者間でのデータ利用に関する同意の取り方、個人や経営体が特定されないようにするための匿名化の考え方、第三者へデータ提供をする際の注意事項などをとりまとめ、現場で活用しやすい指針を作成しました。

これらの成果物は、「施設園芸データ連携コンソーシアム公式ウェブサイト」にてご覧いただけます(図2)。また、全国の自治体や関係機関が複数メーカーの機器やシステムのデータを活用する際のガイドとしてもご利用いただけます。

図2コンソーシアム公式ウェブサイトでの成果物の公開 公式ウェブサイトを2025年10月に公開しました。2026年4月、推奨計測法をはじめとする成果物をコンテンツとして掲載しています。

今後は、施設園芸作物の推奨計測法の対象作物をさらに拡大するとともに、データ利活用の具体的なユースケースの創出や、自治体・普及指導機関と連携した実証事例の蓄積に取り組みます。これにより、メーカーの垣根を越えたデータ活用基盤を整備し、施設園芸分野におけるスマート農業の一層の進展に貢献します。

参考

施設園芸データ連携コンソーシアム公式ウェブサイト
URL : https://www.naro.go.jp/org/nivfs/shisetsu_engei/index.html

関連情報

  • 予算 :
  • 農林水産省補助事業(令和6年度みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業費補助金等のうちスマート農業の総合推進対策のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業のうちオープンAPI等の整備による農業データ連携・共有のための環境整備及び機器間連携実証事業)
  • 農林水産省補助事業(令和7年度スマート農業技術活用促進総合対策費補助金のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業のうちオープンAPI 等を活用したサービス事業体の機能強化事業)
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構 野菜花き研究部門 所長東出 忠桐
同 農業機械研究部門 所長長﨑 裕司
研究担当者 :
同 施設生産研究領域 領域長礒﨑 真英
副領域長安 東赫
主任研究員筧 雄介
同 本部 NARO開発戦略センター
成長産業化戦略グループ
上級研究員山元 季実子
同 本部 企画戦略本部 セグメントⅢ理事室
上級研究員菅野 圭一※
※野菜花き研究部門 施設生産研究領域併任
広報担当者 :
同 野菜花き研究部門 研究推進室仁木 智哉

用語の解説

NARO生育・収量予測ツール①果菜類
施設園芸における果菜類を対象に、栽培条件データおよび温室内環境データを基に、生育や収量の見通しを算出する予測ツールです。本ツールは農業データ連携基盤(WAGRI)上でAPIとして提供されており、民間サービス等での活用が可能です。
参考 : NARO生育・収量予測ツール (1) 果菜類のご案内
https://wagri.naro.go.jp/2024_10_22/ [概要へ戻る]
農機OpenAPI
異なるメーカーの農業機械や営農支援ソフト間で、位置情報や作業記録、施設園芸機器などのデータを、安全かつ効率的に連携できるようにする共通仕様のAPIです。APIとは「アプリケーションプログラミングインターフェース」の略であり、異なるシステムやアプリケーションの間で、プログラムが「決められたルール」で会話するための仕組みです。スマート農業の推進や農業DXの加速を目的に、農林水産省のガイドラインに基づいて農研機構農業機械研究部門が中心となり整備しています。
参考 : 農業機械技術クラスター 農機OpenAPI仕様管理ウェブサイト
https://www.naro.go.jp/org/iam/cluster/aboutus/API/index.html [概要へ戻る]
農機OpenAPI(施設園芸機器編)(v2.1.0)
ハウス栽培などの施設園芸機器から取得される稼働データや機器情報を、メーカーを問わず外部システムと連携できるようにするためのAPI仕様です。2022年に初版が発行され、2026年時点でv2.1.0が最新版となっています。詳細は、以下のURLを参照ください。
参考 : 農機OpenAPI(施設園芸機器編)(2.1.0)
https://www.naro.go.jp/org/iam/cluster/aboutus/API/yaml/WG3_Nouki_Api_Ver.2.1.0.html [概要へ戻る]