果G07 松岡農園、(株)ルーチャード、山彦農園(広島県大崎上島町)

実証課題名
レモンにおけるスマート農業機械等の一貫作業体系の実証
経営概要
松岡農園(急傾斜地慣行栽培)1.15ha(レモン0.45ha,柑橘0.6ha,ブドウ0.1ha) うち実証面積:レモン0.45ha
(株)ルーチャード(平坦地慣行栽培)2.3ha(レモン2.3ha) うち実証面積:レモン0.3ha
山彦農園(平坦地有機栽培)1.8ha (レモン0.48ha,柑橘0.37ha,その他0.95ha) うち実証面積:レモン0.2ha

導入技

①経営管理システム、②AI搭載自動かん水システム、③土壌水分見える化システム、④電動リモコン式草刈機、⑤油圧式&充電式剪定機、⑥マルチロータ、⑦農地環境推定システム、⑧アシストスーツ

  • (作業時間)現行から30%程度削減
  • (販売量)現行から20%程度増加

目標に対する達成状況

  • 自動かん水システム、マルチロータ、充電式剪定機などにより、レモンの作期全体の作業時間が、急傾斜地慣行栽培では約47%、平坦地慣行栽培では約39%、平坦地有機栽培では約34%削減。但し、継続実施中の項目があるため、その作業時間が目標どおりになると仮定すると、24~38%の削減となり、概ね目標どおりの効果が見込まれる。
  • 自動かん水システム、農地環境推定システムによる寒波被害の回避などにより、令和2年産の販売(出荷)量が、レモンの収穫が完了した平坦地有機栽培においては、前年の1.5倍(2.2t/10a→3.3t/10a)となり、目標以上の効果が得られた。

導入技術の効果

自動かん水システム

  • かん水、施肥による散布時間が無くなり、稼働状態の点検作業のみとなったことで、慣行栽培園地では、作業時間が80~93%削減。
    【急傾斜地慣行栽培】 29時間/10a → 2.1時間/10a
    【平坦地慣行栽培】 11時間/10a → 2.1時間/10a

充電式剪定機

  • 重機が入りにくい急傾斜地の園地での剪定において、充電式剪定機を使用し、作業時間が導入前より79~94%削減。
    但し、高所用の剪定機については、重量があり、長時間の使用は腕への負担が大きく、実用面では課題が残った。

マルチロータ

  • マルチロータによる農薬散布において、作業時間(飛行時間)が、97%削減。

農地環境推定システム

  • 町内20地点の気温観測データから、農地環境推定システムを構築し、48時間前に低温のアラート情報を提供。その結果、実証農家において寒波被害を回避し、果実ロスを削減できた。今後、精度向上や更に早い段階でのアラート情報の提供で、収穫面積の拡大による販売量の増加が期待されている。

事業終了後の普及のための取組

  • マルチロータを活用した農薬散布について、今後登録農薬の拡大や液肥等との混用が可能となることを期待するとともに、地元JA等による請負作業体系を整備をすることで、年間を通じて、効率的・経済的な防除作業を可能としたい。
  • 農地環境推定システムでの低温予測精度がさらに向上し、1週間前の予測が可能となることで、寒波への対応がより多くの園地、より多くの品目で可能となる。結果、寒波によるレモン等の生産量の低下を防ぎ、農家の所得確保につなげたい。
問い合わせ先

広島県西部農林水産事務所東広島農林事業所

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