水2C03:(有)アグリ山﨑【茨城・坂東市】

実証課題名
最新技術導入による輸出用高品質米生産体系での環境保全型スマート農業の実証
経営概要
97ha(水稲65ha、大豆17ha、麦15ha) うち実証面積:水稲10ha

導入技

①スマート追肥(センサ―付き可変施肥装置)、②収穫と同時の鋤込み(収量コンバインとロボットトラクタ)、③ラジコン草刈機、④水管理省力化(スマート水管理機器)、⑤高精度水田用除草機(チェーン装着)

新技術導入によって得られる利益が費用を上回ること、生産コスト3%削減、輸出5%増加。

目標に対する達成状況

  • 輸出用3品種の収量は、スマート追肥技術で6.0%、収穫と同時の鋤込み技術で4.3-21.8%増加した(目標値10%増加)。スマート追肥技術では追肥窒素量が19.3%削減され、収穫と同時の鋤込み技術では翌年の基肥窒素量が8-20%削減され、目標(10%削減)が達成されるとともに、減肥による環境保全効果が示された。
  • ラジコン草刈機での熱中症リスクを回避した除草作業時間は61.7%(目標値66%)削減され、スマート水管理機器による訪問回数においても、試験を行った3種の機器でそれぞれほぼ達成目標に近いレベルの削減が達成された。
  • スマート農機導入によるシナリオ計算での純利益は、既存農機による計算での純利益を上回った。

導入技術の効果

スマート追肥

  • 作業能率は対照区よりもスマート区で21.0%高く(左図)、収量は対照区に対してスマート区で6.0%多かった(右図)。追肥窒素量は対照区に対してスマート区では19.3%削減され、減肥による環境面の効果が示された。

収穫と同時の鋤込み

  • 作業時間はコンバインとロボットトラクタの同時作業によって41.1%削減された。土壌分析結果から、翌年の基肥窒素量はスマート区で対照区に対して8~20%削減できることが示され、減肥による環境面の効果が示された。収量は対照区に対してスマート区で4.3~21.8%多かった(下表)。

ラジコン草刈機

  • 本実証農家では、ラジコン草刈機を使用可能な畦畔は全畦畔の22%だった(左図)。熱中症リスクを回避した状態に換算した除草作業速度(右図)から求めた除草作業時間は、対照区に対してスマート区で61.7%削減された。

水管理省力化

  • 全区画の訪問回数から求めた訪問回数の削減率は、水田センサーでは43.6%、遠隔操作型給水栓では79.5%、自動給排水栓では89.7%だった(下表)。

事業終了後の普及のための取組

  • コンソーシアム体制を維持し、引き続きスマート農業技術の現地実証試験を継続する。毎年のデータからスマート追肥量の基準値の設定の見直しを繰り返し、さらなる収量と品質の向上および施肥量の削減を図る。ラジコン草刈機など、今後、新たに開発されるスマート農業機器についても、積極的に導入を図る。
  • メタン放出の抑制、下流への栄養塩類や濁水の流出の抑制、水田水温の調節など、スマート農業技術による環境保全効果についても取り組むべく、測定機器の整備に取り組む。
  • パンフレットや動画を作成するとともに、県や市などと協働して、茨城県西地域へのスマート農業の普及を推進する。
問い合わせ先

岩手大学農学部

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