品種詳細

タマアカネ

「タマアカネ」はアメリカ合衆国から導入した高カロテン品種「Resist」を母、多収でいもの外観が優れる加工用系統「九系179」を父とする交配後代から選抜した醸造・加工用の新品種です。いもの外観や収量が優れており、これまでの育成品種のなかで最も多くのβ-カロテンを含んでいます。

主要特性

「タマアカネ」はアメリカ合衆国から導入した高カロテン品種「Resist」を母、多収でいもの外観が優れる加工用系統「九系179」を父とする交配後代から選抜した醸造・加工用の新品種です。いもの外観や収量が優れており、これまでの育成品種のなかで最も多くのβ-カロテンを含んでいます。

「タマアカネ」の普及が見込まれる宮崎県では、主力品種である「コガネセンガン」以外に焼酎用育成品種「ジョイホワイト」やアントシアニン色素の多い「ムラサキマサリ」などを原料に使った焼酎の多様化やサツマイモの肉色を活かした色鮮やかなワイン風醸造酒の開発・販売が積極的に行われています。

実需者による試験では、「タマアカネ」に含まれるβ-カロテンの色彩を活かして試作した醸造酒は既存の高カロテン品種「ジェイレッド」のものより濃い鮮やかな橙色を呈し、官能評価の結果も優れていました。

焼酎用としては、でん粉含量が低いため他の焼酎用品種より製品歩留まりが劣りますが、いも焼酎独特の風味にカロテン品種特有の熱帯果実的な香りが加わり、まろやかでコクのある個性的な焼酎ができます。現在、新たな消費者層を開拓するため、従来のいも焼酎とは異なる香味を持つ焼酎の製品開発が進められています。

育成地における「タマアカネ」の収量は、標準、早掘栽培ともに「コガネセンガン」より高く、宮崎県では「ジェイレッド」より多収です。サツマイモネコブセンチュウおよびミナミネグサレセンチュウにも強く、焼酎原料として重視される貯蔵性は「コガネセンガン」より優れています。

「タマアカネ」の特筆すべき点として直播栽培適性が挙げられます。慣行の挿苗栽培のような育苗施設や育苗・採苗作業などが不要で、機械化による省力化や挿苗栽培との作業分散による栽培面積の拡大が可能となり、生産コストの削減が期待できるのが直播栽培の大きな特長です。

種いも(親いも)を直接圃場へ植付ける直播栽培では、品質の劣る種いもの残存が問題になります。「タマアカネ」では、種いもの残存率が極めて低く、次年度の種いもとなる子いもが多くできます。また、収量も挿苗栽培を上回り 、でん粉やβ-カロテンなどの品質は挿苗栽培と変わらないことが明らかになっています。

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
23747
(2009年5月14日)
2010年1月25日 21135
(2011年9月13日)
25年
(満了日:2036年9月13日)
交配組み合わせ 旧系統名