品種詳細

せいめい

せいめい

「せいめい」は色沢と滋味に優れており、「やぶきた」より摘採期が早く、やや早生の品種です。また、「やぶきた」や「さえみどり」と比べて、露地および被覆栽培での収量・品質が優れ、特に被覆栽培を行う、かぶせ茶、抹茶等の高品質緑茶の製造に適しています。栽培適地は広く、「やぶきた」が栽培できる主要な茶産地に導入できます。

主要特性

  • 被覆栽培において、「せいめい」の収量、および煎茶として製茶した際の品質は「やぶきた」や「さえみどり」よりも優れます(図1)。旨味が強く、渋みが少ないのが特徴です。また、抹茶や粉末茶に加工した場合、「やぶきた」よりも鮮やかな緑色となります(写真1)。
  • 「せいめい」の耐寒性は「さえみどり」よりも優れており(表1)、関東以南での栽培に適しています。ただし、埼玉県などの寒冷地では幼木期の防寒対策が必要となります。
  • 樹姿はやや直立型、生育はやや旺盛で、育成地(鹿児島県枕崎市)では「やぶきた」と比べて一番茶萌芽期が5日、摘採日が4日早い、やや早生の品種です(表1)。ただし、寒冷地での摘採日は「やぶきた」と同等か1日程度遅くなります。一番茶新芽は鮮緑で、芽揃いに優れます(写真2)。
  • 露地栽培における生葉収量と製茶品質は全ての茶期を通じて「やぶきた」や「さえみどり」よりも優れます(表1)。
  • 主な病害に対する抵抗性は、炭疽病が「中」、輪斑病が「強」、赤焼病が「中」、もち病が「やや強」であり、「やぶきた」よりも優れています(表1)。一方、害虫の発生程度は他の緑茶品種と同等です。
  • 新芽の緑色が美しく、製茶品質が優れることから、「清らかなお茶」の意味で、清らかの「清(せい)」とお茶を表す「茗(めい)」を組み合わせて、'せいめい'と命名しました。

図1 被覆栽培を行ったときの収量(左)とかぶせ茶(一番茶)の製茶品質(右)
2014年、農研機構果樹茶業研究部門(鹿児島県枕崎市)の同一圃場で栽培(10年生)。 被覆期間は一番茶15日間、二番茶7日間で、85%遮光資材を使用。製茶品質は各項目10点満点で評価。
*製茶品質の滋味の点数は「せいめい」が高く、比較品種よりうま味が優れる点が評価された。


写真1 一番茶を被覆栽培して製茶した「やぶきた」と「せいめい」の粉末茶

表1 「せいめい」の露地栽培における栽培特性と製茶品質



写真2 「せいめい」の一番茶期の様子
(3年生の幼木、定規の長さは1m)

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
31289
(2016年6月30日)
2017年1月30日 27874
(2020年3月30日)
30年
(満了日:2050年3月30日)
交配組み合わせ 旧系統名
ふうしゅん×さえみどり 枕崎32号

栽培適地

関東以南の「やぶきた」が栽培可能な主要茶産地で栽培が可能です。

育成担当者

吉田克志、根角厚司、荻野暁子、谷口郁也、佐波哲次、西村 宏、田中淳一、武田善行、岡本 毅、武弓利雄、大前 英、松永明子、吉冨 均