品種詳細

だいこん中間母本農6号

内部褐変症は高温が主な原因となって発生する生理障害で、赤芯症とも呼ばれます。「だいこん中間母本農6号」は内部褐変症に対し安定して強い耐性を示す固定品種です。

主要特性

  • 「だいこん中間母本農6号」は、内部褐変症に強い沖縄県在来品種「シマダイコン」と実用形質に優れる自殖系統を交雑した後代から、高温条件下での選抜を繰り返して育成した固定品種です。
  • 「だいこん中間母本農6号」の内部褐変症発生程度は、対照とした市販の夏ダイコンF1品種「夏つかさ旬」に比べて低く、夏期に高温となる三重県津市および静岡県菊川市、夏期のダイコン産地である長野県茅野市および北海道北広島市で栽培すると、全ての試験地で高い内部褐変症耐性を示します(表1、図1)。
  • 「だいこん中間母本農6号」と内部褐変症耐性の弱い自殖系統FT-18を交雑した後代を用いた遺伝解析の結果から、耐性には複数の遺伝子が関与し、F1においては、耐性は不完全優性に発現します(図2)。F2世代においては、「だいこん中間母本農6号」と同程度の極めて強い耐性を持つ個体が多く出現します。
  • 「だいこん中間母本農6号」の葉長、根長および根径は「夏つかさ旬」に比べいずれも小さく、全重および根重は半分程度です(表2、図3)。高温条件下での空洞症の発生は「夏つかさ旬」よりやや高いですが、す入りはほとんど発生しません。

図1 初夏まき夏どり栽培における「だいこん中間母本農6号」(左)と「夏つかさ旬」(右)の収穫物断面.
2017年8月21日撮影.   三重県津市での栽培. 

図2 「だいこん中間母本農6号」とFT-18のF2集団における内部褐変症評点の頻度分布.
A:津市(ハウス)(n=184)、B:津市(露地)(n=297)、C:菊川市(露地)(n=166)
図3 「だいこん中間母本農6号」(左)と「夏つかさ旬」(右)の収穫物.   2018年12月17日撮影.   三重県津市での栽培. 

活用点・留意点

  • 「だいこん中間母本農6号」の内部褐変症耐性は不完全優性に遺伝するため、本品種と同程度の耐性を持つF1品種を育成する場合は、両親に耐性を導入する必要があります。
  • 本品種の内部褐変症耐性と不良形質との連鎖は特に見られませんが、耐性の強さと根重の間には弱い負の相関が見られます。
出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
34469
(2020年1月23日)
2020年4月13日

交配組み合わせ 旧系統名
ダイコン安菊1号