品種詳細
太天(たいてん)
カキ品種「太天」は、栽培しやすく、大果で食味がよい晩生のカキ品種です。現在の主力カキ品種の「富有」より肉質が軟らかく、多収です。渋ガキですが、渋を抜いたのち、甘ガキと同様に流通することが可能です。名前は、天から授かった、素晴らしい、大きな果実のカキの意から名付けられました。
主要特性
- 「太天」(図1)は、「富有」と同時期またはやや早い時期に成熟する晩生の渋ガキ品種です。果形は扁平で、果実重は著しく大きく「富有」の約1.5倍で、育成地(広島県安芸津)では平均490gになります(表1)。
- 肉質は軟らかく、適熟果の肉質はやや粗く「太秋」に近いですが、熟するとともに滑らかで緻密な肉質となります。すこぶる多汁で食味が優れています。糖度は17%程度であり、「平核無」より高く、「富有」と同程度です。
- 炭酸ガス脱渋(CTSD脱渋:炭酸ガス100%・26°Cで1日、その後、26°Cの空気中で5日)により脱渋し、その後の日持ちが「平核無」より長い品種です。果頂裂果・へたすきはほとんど発生しません。条紋は少し発生します。脱渋方法は、今後の研究によりさらに容易となる可能性があります。
- 樹勢は強く、樹姿は開張します。雌花の着生は多く、雌花の開花期は「富有」より4日程度早い時期です。雄花はわずかに着生します。単為結果力は低いですが、種子形成力が強く、受粉樹がある条件では結実性は安定しており、栽培しやすい品種です。収量性が高く、10aあたり3t以上の生産が可能と見込まれます。
- 東北地方南部以南のカキ生産地で広く栽培が可能です。
図1 「太天」の果実(育成地:安芸津、2006年11月)
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
21448 (2007年9月11日) |
2007年12月21日 | 17493 (2009年2月26日) |
30年 (満了日:2039年2月26日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
黒熊×太秋 | カキ安芸津21号 |
栽培適地
- 東北地方南部以南のカキ生産地で広く栽培が可能です。
農林認定品種(旧:命名登録品種)
登録番号:かき農林13号
登録年月日:2008年3月
育成担当者
山田昌彦、佐藤明彦、三谷宣仁、岩波 宏、白石美樹夫、山根弘康、平川信之、上野俊人、河野 淳、吉岡美加乃、中島育子
発表論文
果樹研究所研究報告14号, p.39-52(2012-09): カキ新品種'太天'
園芸学研究11巻・ 1号, p.103-111(2012-01): 異なる脱渋処理がカキ '太天' と '太月' の脱渋性および有機酸含量に及ぼす影響