品種詳細
太豊(たいほう)
- 「太豊」は、良食味で、種なし果の生産が可能な晩生の完全甘ガキです。「太豊」の果実は「富有」並みかそれ以上に大きく、「富有」とほぼ同時期の11月中下旬頃に収穫できます。果肉は柔軟多汁で、サクサクとした食感が特徴です。雌花が多いうえ、受粉樹を周囲に混植しなくても早期落果が少なく、後期落果もしないため、種なし果の安定生産が可能です。
主要特性
- 樹勢は「富有」並みで、樹姿は開張と直立の中間です(表1)。雌花の着生は多く、雄花は着生しません。雌花の開花期は「富有」とほぼ同時期です。早期落果は少なく、後期落果は生じません。
- 果実の収穫期は、育成地(広島県東広島市安芸津町)においては11月中下旬で、「富有」とほぼ同時期です(表1)。果実はやや腰高の扁円形、果皮は橙色で玉揃いは良好です(図1)。育成地では平均336gで「富有」より大きい果実となり(図2)、全国の試験研究機関における試作試験では、平均すると「富有」と同等の果実の大きさとなりました。糖度は16%程度で「富有」並みですが、多汁な上、「富有」より果肉が軟らかく、 サクサクとした食感を有しており、食味は良好です。果頂裂果4) は発生せず、へたすき果5) の発生は「富有」と同程度です。日持ち性は長く、「富有」並みです(表2)。
- 単為結果力が高い(表3)ため、受粉樹が不要で消費者ニーズの高い種なし果を安定生産することが可能です。なお、種なし果を生産するためには、周囲に受粉樹がない環境が必要です。
表1「太豊」の樹性、結実性および成熟期
農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点(広島県東広島市)(2011-2013)
受粉樹が周囲にある条件での栽培
表2「太豊」の果実特性
農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点(広島県東広島市)(2011-2013)
受粉樹が周囲にある条件での栽培
表3 「太豊」の種なし果実の結実率
図1「太豊」の結実状況
図2「太豊」の果実(受粉樹が周囲にある場合)
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
29280 (2014年6月11日) |
2014年10月28日 | 24349 (2015年6月19日) |
30年 (満了日:2045年6月19日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
興津20号×太秋 | カキ安芸津25号 |
栽培適地
夏秋期の気温が高い地域に適応し、「富有」の栽培地域で栽培が可能です。
育成担当者
佐藤明彦、山田昌彦、三谷宣仁、河野 淳、岩波 宏、上野俊人、白石美樹夫、伴 雄介、山根弘康 、平川信之、尾上典之、吉岡美加乃、中島育子