品種詳細
麗玉(れいぎょく)
- 「麗玉」は、良食味で、種なし果の生産が可能な早生の完全甘ガキです。完全甘ガキに特異的に生じやすいへたすき果がほとんど発生せず、中生の代表的な完全甘ガキ品種である「松本早生富有」より10日程度早い10月中下旬頃に収穫できます。果汁が多く、果肉が軟らかいため食味が良好です。受粉樹を周囲に混植しなくても早期落果が少ないため、種なし果の安定生産が可能です。夏秋期の気温が高い地域に適応し、「松本早生富有」または「富有」の栽培地域で栽培が可能です。
主要特性
- 早生で、早期落果が少なく、へたすき果や果頂裂果といった障害果がほとんど生じない良食味の完全甘ガキ品種です。
- 樹勢は、「松本早生富有」並みで、樹姿は開張と直立の中間です(表1)。雌花の着生は、「松本早生富有」と同程度で、まれに雄花を着生します。雌花の開花期は、「松本早生富有」とほぼ同時期です。また、後期落果は生じません。
- 果実の収穫期は、育成地(広島県東広島市安芸津町)においては10月中下旬で、「松本早生富有」より10日以上早く収穫できます(表1)。
- 果実はやや腰高の丸みを帯びた扁円形、果皮は橙色で玉揃いは良好です(図1、2)。果実重は、育成地では平均278gで「松本早生富有」並みの大きさの果実となりましたが、全国の試験研究機関における試作試験では、平均すると「松本早生富有」よりやや小ぶりの果実となりました(表2)。
- 糖度は、18%程度で「松本早生富有」より高く、果肉硬度は「松本早生富有」より低くて軟らかく、果汁も多いため、食味は良好です(表2)。
- 果頂裂果、へたすき果は、ほとんど生じません。汚損果の発生は少なく外観が優れています(表2)。
- 日持ち性は、早生品種としては長く、「松本早生富有」並みです(表2)。
- 単為結果力が高いため、受粉樹が不要で消費者ニーズの高い種なし果を安定生産することが可能です(表3)。なお、種なし果を生産するためには、周囲に受粉樹がない環境が必要です。
表1 「麗玉」の樹性、結実性および成熟期
農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点(広島県東広島市)(2010-2014)
受粉樹が周囲にある条件での栽培
「麗玉」の中間台木 : 「富有」
表2 「麗玉」の果実特性
農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点(広島県東広島市)(2010-2014)
受粉樹が周囲にある条件での栽培
「麗玉」の中間台木 : 「富有」
表3 「麗玉」の種なし果実の結実率
図1「麗玉」の結実状況
図2「麗玉」の果実(受粉樹が周囲にある場合)
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
30228 (2015年6月 3日) |
2015年9月29日 | 25273 (2016年7月 6日) |
30年 (満了日:2046年7月 6日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
甘秋×カキ安芸津19号 | カキ安芸津22号 |
栽培適地および栽培上の留意点
夏秋期の気温が高い地域に適応し、「松本早生富有」または「富有」の栽培地域で栽培が可能です。
「甘百目(あまひゃくめ)」、「大養(だいよう)」等の品種に接ぎ木すると不親和症状が認められ、他の一部の品種に高接ぎした場合にも生育不良が生じ、果実の小玉化や樹勢の低下が認められます。高接ぎする場合は、このような症状が認められなかった「富有」、「松本早生富有」、「太秋」への高接ぎが望ましいと考えられます。
育成担当者
佐藤明彦、山田昌彦、三谷宣仁、河野 淳、伴 雄介、上野俊人、白石美樹夫、尾上典之、岩波 宏、吉岡美加乃