品種詳細
ひなのたき
樹姿は枝垂れ性で、重弁、桃色の美しい花を咲かせます。成熟期は「あかつき」とほぼ同時期で、果実は150g前後、果肉は黄色、糖度はやや低いですが酸味が少なく生食可能で、育種素材や観賞用品種としての利用が見込まれます。
主要特性
- 樹勢は強く、樹姿は枝垂れます。開花期はやや遅く、「あかつき」より数日遅く、「残雪枝垂れ」および「源平枝垂れももNo.1」とほぼ同時期です。開花の始めから終わりまで3週間以上になり、開花期間が極めて長いことも特徴のひとつです。花は大きく、花弁は桃色で25枚前後です。花粉を有し、自家結実性です。(表1、図1)。
- 果実の収穫期は育成地で7月下旬で、「残雪枝垂れ」および「源平枝垂れももNo.1」より1ヶ月半以上早く、「あかつき」とほぼ同時期です。果皮の地色は黄色で、着色はぼかし状に中程度入ります。果形は卵円形で、縫合線の裂開が発生することがあります。果実重は平均で150g前後と小さめですが、果肉は黄色、半不溶質で、肉質は中、果汁は多めです。糖度は9%あまりとやや少ないのですが、酸味は少なく、生食に供することができます(表1、図2、図3)。
- 雌しべを2本有する花が混じるので、摘果の際には正常果を残すようにします。
- せん孔細菌病、灰星病には罹病性なので、薬剤散布による防除が必要です。
- 九州から東北地方までのモモ栽培地域で栽培が可能ですが、果実品質が栽培品種に較べて劣るので果実販売用には適しません。樹が枝垂れ性で花が重弁・桃色で美しく、果実も利用できるので公園や家庭の庭園木としての利用が期待されます。
図1 「ひなのたき」の開花樹
図2 「ひなのたき」の花
図3 「ひなのたき」の結実状況
図4 「ひなのたき」の果実
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
22827 (2008年8月14日) |
2008年10月28日 | 19505 (2010年3月18日) |
30年 (満了日:2040年3月18日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
「G-62-8」 × 「G-62-8」 | モモ筑波125号 |
栽培適地
九州から東北地方までのモモ栽培地域で栽培が可能です。
育成担当者
山口正己、八重垣英明、土師 岳、末貞佑子、三宅正則、鈴木勝征、内田 誠、木原武士
発表論文
果樹研究所研究報告20号, p.11-20(2015-09) : モモ新品種'ひなのたき'