品種詳細

さんたろう

「さんたろう」は、「はつあき」に「スターキング・デリシャス」を交雑して育成した中生品種です。果皮は濃赤色で着色が優れ、外観良好です。生食用品種の中では酸味が強く、果実は大きく、豊産性です。

主要特性

  • 樹勢は中程度で、樹姿は開張性を呈します。短果枝の着生は中程度、腋花芽の着生は多いです。「世界一」、「きたろう」、「陽光」等とは交雑不和合ですが、その他の主要経済品種とは和合性となっています。三倍体であるため花粉の稔性は低く、授粉樹としては利用できません。豊産性ですが、収穫前落果が多少認められます。主要病害の中で、斑点落葉病には抵抗性、黒星病に対しては 罹病性があります。
  • 盛岡における成熟期は10月上旬で、「紅玉」より2週間、「千秋」より1週間程度早いです。大きさは通常350g前後と大きく、果形は円、果皮は濃赤色で美しい外観をしています。果面さびの発生は少ない品種です(図1)。糖度は12.5%とやや低く、酸度(リンゴ酸含量)は0.7%前後を示し、酸味が強い品種です。貯蔵可能期間は室温で2週間、冷蔵で80日前後です(表1)。
  • 系統適応性検定試験の結果によると、成熟期は長野で9月上旬、東北北部で9月下旬、北海道で10月中旬となっています。果実の大きさは302~372gで着色が優れ、多くの場所で外観良好と評価されました。糖度は11~14%、酸度は 0.55~0.77%前後で酸味の強いことが指摘されましたが、生産力は「中~高」と評価されています( 表2 )。

図1 「さんたろう」の果実

表1 育成地(岩手県盛岡市)における「さんたろう」の特性

表2 系統適応性検定試験における「さんたろう」の特性調査結果


結実状況


樹姿

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
12695
(2000年8月 8日)
2001年3月13日 11257
(2003年3月26日)
25年
(満了日:2028年3月26日)
交配組み合わせ 旧系統名
はつあき×スターキング・デリシャス リンゴ盛岡50号

栽培適地

  • 着色の優れる品種ですが、暖地では劣ることから、栽培適地は東北地方以北となります。

  • 農林認定品種

  • 登録番号 :りんご農林17号
    登録年月日:2000年10月25日

  • 育成担当者

    副島淳一、別所英男、吉田義雄、羽生田忠敬、増田哲男、小森貞男、土屋七郎、伊藤祐司、眞田哲朗、阿部和幸、古藤田信博、加藤秀憲、樫村芳記

  • 発表論文

    果樹研究所研究報告15号, p.7-19 (2013-03) : リンゴ新品種'さんたろう'