品種詳細

凜夏(りんか)

  • 地球温暖化の進行により、暖地では「幸水」等で花芽が枯死する等の障害が発生し、生産が不安定となっています。そこで、暖地でも花芽が安定的に着生することで安定生産を可能とするニホンナシ品種「凜夏(りんか)」を育成しました。「幸水」とほぼ同時期に成熟する早生の品種です。「幸水」と比べ、大果で、果肉が軟らかく、糖度はほぼ同程度で、pHは低く少し酸味を感じます。「凜夏」は、果実品質良好で、暖地でも安定して花芽が着生し、結実することから、特に暖地における普及が期待されます。

主要特性

  • 樹勢は「幸水」と同程度です。短果枝の着生は「幸水」より多く、えき花芽の着生は同程度であり、安定して花芽が着生します。収穫期は「幸水」に近い時期で、育成地では8月下旬です。若木(6-7年生時)における収量は「幸水」と同程度です(表1)。
  • 果実は重さが500g程度で「幸水」よりも大果です。果肉硬度は「幸水」より軟らかく、肉質良好です。糖度は「幸水」と同程度で、pHは低く少し酸味を感じます。みつ症と心腐れがわずかに発生しますが、程度は軽微です(表2)。日持ち性は「幸水」以上です。
  • 鹿児島県(薩摩川内市)において、「幸水」では短果枝の花芽が40%以上、えき花芽が30%以上枯死したのに対し、「凜夏」ではいずれも10%以下でした(表3)。
  • 黒斑病には抵抗性です。「幸水」と同様、黒星病に対しては罹病性ですが、慣行防除で栽培できます。S遺伝子型はS1S3で、現在の主要品種とはいずれも異なり、交雑和合性を示すと考えられます。

凜夏の樹体特性
表2 凛花の果実特性

凜夏および幸水の花芽枯死率

「凜夏」の結実状況
図1 「凜夏」の結実状況

図2 「凜夏」の果実
図2 「凜夏」の果実

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
28387
(2013年7月26日)
2013年11月22日 23912
(2015年3月 3日)
30年
(満了日:2045年3月 3日)
交配組み合わせ 旧系統名
269-21(おさ二十世紀×豊水)×あきあかり ナシ筑波55号