おむすびなろりんの丘タイトル

なろりん、南の島の研究拠点を訪ねる の巻

訪ねた日: 2019年9月12日
お天気: 晴れ

こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究センターを巡って紹介しています。
78回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。

今回訪れたのは、鹿児島県西之表市にある「九州沖縄農業研究センター 種子島研究拠点」です。全国にある農研機構の研究を実施している拠点の中で、一番南にあるんだって!
こちらではさとうきびの新しい品種育成(育種)の研究をしているよ。

種子島研究拠点に到着。まっすぐ先に海が見えるよ!

種子島研究拠点でのさとうきびの研究は、大きくわけて3つ。

  • 製糖用のさとうきび品種を育成すること。
  • 新しいいろんなこと(燃料など)に利用できるさとうきび品種を育成すること。
  • 牛さんなどのエサ(飼料用)となるさとうきび品種を育成すること。

お砂糖の原料だってことは知っていたけど、そのほかにもいろんな目的でさとうきびの研究をしているんだね。

種子島や沖縄などの南西諸島は暑くてさとうきび栽培が盛んだけど、実は冬の低温、サンゴ礁由来の水持ちの悪い土や夏場の干ばつが原因の水不足、台風など、さとうきびを栽培するには厳しい環境なのだそう。
そのような環境でも、きちんと芽が出て、強い風でも折れにくく、病気に強くて、安定してたくさん収穫でき、早く甘くなる(早期高糖性)品種をつくることを目標に、品種育成に取り組んでいるよ。

品種育成は、交配からスタート。
実は種子島は冬に霜が降りるなどさとうきびには寒すぎて、花が咲かないのだそう。
花が咲かないと交配はできないので、種子島ほど寒くならない沖縄県石垣島でさとうきびを育てて花を咲かせ、交配しているんだって。石垣島に持って行ってから花を咲かせるまでにも1年以上かかるんだって。

交配から品種になるまで、最短でも13年も時間がかかるのだそう! と~っても長い道のりだね。

こちらのハウスの中には、交配して発芽したものがきれいに並んでいたよ。

小さくてかわいいね♪

こんなに小さい芽が2メートルを超えるくらいまで生長するんだね。すご~い!
背の高いさとうきび畑に入ると、自分がどこにいるのかわからなくなることも時々あるのだそう。まるで迷路のようだね!

生長速度のピーク時は、一日に3センチも伸びるんだって!

さとうきびのトンネル♪

これはさとうきびをしぼる研究用の機械だよ。
さとうきびのしぼり汁がお砂糖になるよ。
上からギューっと押しつぶして、しぼり汁はこの水道の蛇口のようなところから出るんだって。しぼった汁は別の部屋で分析するよ。

スタンバイOK♪

ここから甘い汁がでてくる!!

こちらの種子島研究拠点から、いろんな品種がうまれているよ。

たくさん収穫できる「Ni27」は、沖縄で一番作られている製糖用の品種。

牛さんのエサ(飼料)として作られた「しまのうしえ」は、とってもたくさん収穫できて病気にも強いよ。「島の牛の恵み」になりますようにって名付けられたよ。

飼料用の品種は製糖用の品種に比べて糖度は低いけど、牛さんたちにとっては甘くておいしいのだそう。なろりんもかじってみたいな~。

こちらの畑にはいろんな品種がせいぞろい♪

葉っぱのかたちや茎の太さがそれぞれ違うね!

種子島では農家さんの数が年々減っていて、そのことによって畑の大規模化、機械化が急速に進んでいるのだそう。
機械化が進んだことで、収穫する時に土の中の株が一緒に引き抜かれたり、株出し再生能力が落ちるなどの課題があるんだって。

「株出し」は、植え付けて収穫(刈り取り)が終わった株からまた芽が出てきて2~3度収穫する方法で、次の植え付けをしなくてもそのまま育てて収穫できるから、植え付け作業が省けるよ。

そういった課題を解決するために誕生したのが、今一番のおすすめの製糖用さとうきび品種、「はるのおうぎ」。

こちらが「はるのおうぎ」♪

この品種は早くから種子島の生産者さんが非常に注目していて、そういった種子島の厳しい状況を変えていきたい!という強い想いがあったのだそう。

さとうきび新品種候補「KY10-1380」(「はるのおうぎ」と名付けられる前の系統番号)について農林水産省で名称アイディア募集をしたところ、305件の応募があったんだって。
さとうきびの品種名称アイディア募集がおこなわれたのははじめてのこと。
そして、応募作の中の言葉を組み合わせてできたのが、「はるのおうぎ」。

「はる」は、春先にたくさん芽を出す特性を持っていること。
それから、この品種の系統番号、1380を漢字で書くと、一、三、八、〇。
この文字を合体させると...「春」という字になるよ! おもしろ~い♪

「おうぎ」は、春先の株出しの際、まるで扇を広げたように見えるということが由来なのだそう。

株出しの新しい茎が横に広がってたくさん出ているね!

これからの種子島のさとうきび生産を支え、生産者さんに喜ばれる品種の一つになるといいね♪

さとうきびの写真を撮るとき、ものさしを持った人が必ず横に入るんだって。
うんうん、確かに見たことある。

こういう写真ね♪

ものさしを持つのは、基本的に業務科の方なのだそう。
昔から種子島研究拠点では、研究員だけでなく研究を支えている総務・業務科・契約職員も含めた「みんなが品種の育成者」っていう方針でやってきているんだって。
すてきな方針に、なろりん、胸が熱くなったよ!

「育成者のみなさん」と♪

種子島研究拠点のみなさん、ありがとうございました。
これからもさとうきびの新しい品種の誕生を楽しみにしているよ♪

次はどこの研究センターへいこうかな。お楽しみに♪
「九州沖縄農業研究センター」の詳細は、ホームページを見てね。

おまけ
種子島といえばロケット!

つくばまでロケットで帰ります♪