なろりん、カンショの短所をカイケツ!?の巻
お天気: 晴れ
こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究所を巡って紹介しています。
92回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。
今回は、熊本県合志市にある「九州沖縄農業研究センター」をリポートするよ。
今回訪ねたお部屋は、「暖地畑作物野菜研究領域畑作物・野菜栽培グループ」。
こちらでは、カンショ(サツマイモ)の輸送中の腐敗を防止する技術について研究しているよ。
日本産のサツマイモは海外でも人気があって、年々、輸出額が伸びているのだそう。
その中でも香港への輸出額が一番多いんだって!
香港では小ぶりなイモを炊飯器で蒸しておやつで食べる習慣があって、とくに「べにはるか」(農研機構で育成した品種だよ)は、甘くてしっとりしていて、冷めてもおいしいので人気なのだそう♪
サツマイモは年間を通して船で輸出しているのだけど、冬は輸送中に腐ってしまうことが多くて、経済的に大きな損失になっているのだそう。
農研機構の調べによると腐敗率は25%。とっても深刻な問題だね。
腐敗の主な原因は、「軟腐病」と「青かび病」。
とくに軟腐病は腐敗が進むスピードがはやくて、香港に到着するまでの約2週間の間にイモ全体を腐らせてしまうのだそう。
今回、実際に軟腐病のサツマイモを見せてもらったよ。
生のおイモなのに指で簡単にちぎれるくらい、とても軟らかく腐ってしまっているよ。
到着して箱を開けて、おイモが腐っていたらショックだよね...
そのため、「軟腐病」と「青かび病」の両方を抑える技術が早く実用化されることが求められているよ。
こちらのお部屋では、実際にサツマイモを香港に輸出している農業生産法人や輸出商社の方たちと一緒に、実証試験をおこなっているのだそう。
まずは実験してから...とのんびりしていられない状況なので、実証試験と販売用の輸出を同時進行。
「軟腐病」と「青かび病」は、おイモの傷口から菌が侵入して腐敗につながるよ。なので、ちょっとの傷でも腐敗の原因になることもあるから、サツマイモをていねいに取り扱うことがとても大事。洗浄や調製などの作業をする方には、サツマイモの取り扱い方や管理方法が大事なことを納得して実践してもらえるように、わかりやすく説明することも工夫したんだって。
それから実験室では、腐敗防止に効果がある温度処理の方法を検証。
実験室で効果のあった処理方法をさっそく現場で試してみたけど、最初からうまくはいかなかったのだそう。
なぜうまくいかなかったのか、現場に行って工程を総点検し一つ一つ改善していったんだって。
現場の難しさを痛感したそうだよ。
その結果、サツマイモの取り扱いや環境管理などの対策と、腐敗防止の温度処理もうまくできるようになって、昨シーズンは十数回出荷して、腐敗は目標内に収まって、輸出は無事成功したんだって♪
目標の、「冬期の香港への輸出で腐敗率5%以下」を達成できて、ホッとしたと話してくれたよ。関係者みんなで、チームで取り組んだ結果なんだって。
今後は、対策のポイントをまとめた標準作業手順書(SOP)を活用して成果の普及に取り組む予定なのだそう。
今回、案内してくれた研究者さんと。
実は10年ぶりの再会!当時は企画のお仕事をされていたときに訪ねたよ♪
(「成果品にかこまれちゃった!!の巻」)
おいしい日本のサツマイモをいろんな国の人にたくさん食べてもらいたいな、と思ったなろりんなのでした。
次はどこの研究所へいこうかな。
「九州沖縄農業研究センター」の詳細は、ホームページを見てね。