おむすびなろりんの丘タイトル

興津に全米さくらの女王がやってきた! の巻

訪ねた日: 2019年6月 5日
お天気: くもり

こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究センターを巡って紹介しています。
75回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。

今回も引き続き、静岡県静岡市にある「果樹茶業研究部門 カンキツ研究拠点(興津)」からお届けします。

毎年この時期に、日米友好のシンボルとして「全米さくらの女王」が来日します。
今年は第71代女王に選ばれたタイリア・ウエストさんが来日し、総理大臣をはじめいろんな方を表敬します。

そしてその際にこちらのカンキツ研究拠点にもやってきます。
なぜ「全米さくらの女王」がカンキツ研究拠点に?!
それは日米の桜にまつわるエピソードに、こちらの研究拠点が深~い関わりがあるからなのだそう。
なろりん、その話をもっと聞きたくて興津を訪ねました!

というわけで、なろりんも一緒に「全米さくらの女王」をお出迎え!
今回来訪したタイリアさんと一緒に♪

ようこそカンキツ研究拠点へ!

アメリカワシントンD.C.のポトマック川沿いの桜並木は、世界的にも有名な桜の名所として知られているよ。
この桜は今から107年前の1912年(明治45年)に、当時の尾崎東京市長から贈られたものなんだって。

実は最初にアメリカに送った桜の木は、病気や虫が付いていて残念ながらすべて焼却処分になってしまったのだそう。

失敗をくり返さないためには、しっかり調査して健全な苗木を作ることが重要! ということで、当時の農商務省農事試験場園芸部(現在のカンキツ研究拠点)が、アメリカへ贈るための苗木づくりを任されました。
とっても責任重大だね!

桜は接ぎ木で苗木を増やすことにしたのだそう。
まだ農薬のない時代だったから、健全な苗木を6,000本も作るのはものすごく難しいことだったそう。

まずは台木を山桜で作り、そこへ採取して来たいろんな桜の種類の穂木を接ぎ木したんだって。
ちなみに接ぎ木っていうのは、このように植物体の一部を切って、ほかの植物体にくっつけることだよ。

こちらはカンキツ類の接ぎ木だよ

桜の苗木1本ごとに竹の支柱を立てて、大切に育てたよ。
途中台風の被害にも遭いながらも、6,000本の苗木たちは元気に育ちました!
そしてそのうちの3,000本がワシントンへ贈られたよ。

ワシントンに到着した苗木を検査したら病気や害虫がまったく無かったのでアメリカの検査員が驚いたそうだよ。
それから苗木は無事、ワシントンのポトマック川沿いに植えられました! やったね♪

アメリカからは桜のお礼にと、1915年(大正4年)にハナミズキが贈られました。
ハナミズキが日本にやってきたのは、この時が初めてなのだそう。
そのうちの5本が農商務省農事試験場園芸部(現在のカンキツ研究拠点)に贈られたんだって。

その後、ハナミズキは90年以上花を咲かせ続けていたけど(すごい!)、残念ながら最後の1本が10年前に枯れてしまったんだって。

でもね、当時同じように贈られたハナミズキが東京都立園芸高等学校にもあって、そこから穂木をもらってきて接ぎ木したんだって。
接ぎ木で歴史もつないだね!

まだ小さなハナミズキと一緒に♪

ちなみに、ハナミズキの花言葉は「返礼」なんだって。
こちらで作った苗木を贈った返礼として、アメリカからハナミズキがやってきたことに由来しているのだそう。

2012年(平成24年)には、寄贈100周年を記念してワシントンから「里帰り桜」が贈られたよ。
ワシントンに贈った「ソメイヨシノ」から取った穂木が日本に里帰りしたんだって。
実はその時の桜の樹は去年大きな台風がやってきて被害に遭い枯れてしまったのだそう。
これは、贈られた桜の穂木を接ぎ木しておいたもの。

こちらも接ぎ木で復活!
次の100年に向けてすくすく育ってね♪

最後にカンキツ研究拠点のみなさんも集まって、一緒に記念撮影したよ♪
当時の農商務省農事試験場園芸部の恩田初代場長の銅像の前で。

来年もお待ちしています♪

今から107年前、農商務省農事試験場園芸部(現在のカンキツ研究拠点)のみんなが大切にがんばって育てた桜の苗木やその子孫たちは、今もアメリカワシントンD.C.のポトマック川沿いで訪れた人たちを楽しませているよ。なろりんもいつか行ってみたいな♪

ポトマック川沿いの桜並木♪

桜の季節が待ち遠しくなったなろりんなのでした。
次はどこの研究センターへいこうかな。お楽しみに♪

●「果樹茶業研究部門」の詳細は、ホームページを見てね。